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不動産業者が教える「囲い込み」を防止する方法とは?

公開日: 2023年4月25日  更新日: 2023年9月24日

   

囲い込みとは

売主は大切な財産である不動産をできる限り高く売って欲しいと願って、不動産会社に販売活動を依頼します。売主から依頼を受けた不動産会社は、売主の利益のためにできるかぎり高く売るように努力する義務を負っています。
しかし、不動産会社が嘘をついて、高く売ることよりも自社の利益を優先してしまう背信行為が「囲い込み」なのです。

では囲い込みとは具体的にどのようなことなのでしょうか。またどのようにすれば避けられるのかを解説します。

囲い込みの詳細とそのメカニズム

囲い込みとは何かをお伝えするために、まずは不動産を売る基本的な手順について簡単に説明します。
不動産を売るためには、売手だけではなく買手が必要です。売手と買手をつなぐのが不動産会社で、売手と買手をつないで売買を成立させる活動を「仲介」といいます。
売買が成立すると、不動産会社は売手や買手から仲介手数料をもらうことができます。これが不動産会社の収益なのです。

通常の不動産を売る流れ(片手取引)をおおまかに図にまとめてみました。


図1 片手取引の流れ

① 売主が不動産会社Aに販売活動を依頼する(仲介を依頼するといいます)
② 不動産会社Aは物件の情報をレインズ(※)というシステムで公開して買主を探す
③ レインズによって全国の不動産会社に物件の情報が共有される
④ 不動産会社B・C・D・・・がその不動産を買いたいと思う買主を見つける
⑤ 売主は不動産会社Aを介して、買主側はそれぞれ不動産会社B・C・Dを介して不動産会社同士で連絡を取り合い、内見の手配や価格などの条件交渉を行う
⑥ 売主は最も条件のよい買主Aを選んで不動産を売却する

(※)レインズとは、国道交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークです。不動産会社だけが見ることができる不動産会社のための情報サイトのようなシステムです。

このシステムを介して、様々な不動産会社にこの不動産を売りたいという情報を伝えることができます。その結果、多くの購入希望者を集めることができ、結果的に高く売却することができるのです。

この場合、不動産会社はいくら報酬がもらえるのかを計算してみましょう。
不動産会社がもらえる報酬の上限は法律で決められており、例えば物件の売買価格が400万円超の場合、売買価格×3%+6万円+消費税となっています(※細かく計算すると価格帯別に計算が必要になりますが、ここでは400万円を超えた場合の計算式を用います)。

この場合、不動産会社Aには売主から、不動産会社Bには買主から図2のようにそれぞれ99万円(税別)が報酬として支払われます。


図2 片手取引の場合の報酬の流れ

しかし、不動産会社Aが買主も見つけた場合はどうなるでしょう。

図3 両手取引の場合の報酬の流れ

図3は同じ不動産会社が買主も見つけてきた場合です。もし同じ3,100万円で買主を見つけてきたなら2倍儲かるということですね。

図2の場合は、不動産会社は売主もしくは買主のいずれかだけから報酬をもらえるため、これを「片手取引」といいます。
図3は売主、買主のいずれからも報酬がもらえるため、これを「両手取引」といいます。

不動産会社としては報酬が大きく増えるので、両手取引を狙いたいわけなのです。
では「囲い込み」について説明します。

「囲い込み」とは両手取引を実現するために、他の不動産会社の売却活動を妨害することをいいます。

囲い込みを表したのが図4です。


図4 囲い込みの流れ

囲い込みの典型的なパターンはこんな感じです。

① 売主が不動産会社Aに販売活動を依頼する
② 不動産会社Aは物件の情報をレインズで公開して買主を探す
③ レインズによって全国の不動産会社に物件の情報が共有される
④ 不動産会社B・C・D・・・がその不動産を買いたいと思う買主を見つける

ここまでは図3と同じです。

レインズで不動産の情報を見た不動産会社B、C、D・・・がその不動産を買いたいと思う買主を見つけ、不動産会社Aに連絡を取ります。
不動産会社Aはその物件が売れる予定がなくても、
「その物件は今商談中なので、今は紹介できません」とか「そろそろもう契約なので無理です」
などと嘘をついて断ってしまうのです。
結局不動産会社A社が買主を見つけるまで、他の不動産会社からの問い合わせに嘘をついてブロックし続けるのです。

図4の例では3,100万円で買いたい人がせっかくいたにもかかわらず、不動産会社A社が見つけた2,700万円で買いたい人に売ることになってしまうのですね。
この場合、報酬はどうなるでしょうか?

図5 両手取引(囲い込み)をした場合の報酬の流れ

売買金額が3,100万円に比べると400万円安くなってしまいました。
それでも、不動産会社Aの報酬は174万円となります。図2の片手取引では99万円しかもらえなかったことと比較すると、はるかに儲かることがわかります。
売主から委託されている不動産会社は、本来は売主の利益を実現するために最大限に努力しなければならないのです。この囲い込みという売主を裏切る行為が頻繁に発生していることは、日本の不動産業界の最大の闇といってもいいでしょう。
囲い込みは状況によっては詐欺罪にもなりうる、重大なコンプライアンス違反です 。しかし、日本の法律では両手取引が禁止されていないので、頻繁に発生してしまうのです。

この囲い込みがやっかいなポイントとしては、囲い込みが行われているかどうか売主にはわからないことにあります。

大手不動産会社なら安心なのか?

実は大手不動産会社のほうがむしろ積極的に囲い込みを行っている可能性が高いというデータがあります。
ダイヤモンド不動産研究所の調査を引用します。

引用:ダイヤモンド不動産研究所

大手不動産会社29社のうち6社が両手比率50%を超えていることがわかります。
両手比率が50%を超えているとなると、囲い込みが行われている可能性が非常に強く疑われます。レインズに登録して、買手側の不動産会社に協力して売却活動を行えば、ここまでの数字にはなりにくいはずなのです。

「大手だから」「有名だから」「上場企業だから」安心ではないことを覚えておいてほしいのです。

そこで、次に囲い込みはどのように行われているかについて説明します。これを理解しておくと対策が立てやすいからです。

囲い込みのパターン

1.不動産会社がレインズに登録をしない

そもそもレインズに登録をしないと、他の不動産会社が物件を見つけることができません。
これは最も悪質な囲い込みのパターンです。しかし、このパターンはまずありません。
1社にだけに売却活動を依頼する専属媒介契約または専属専任媒介契約を結んだ場合、レインズに登録しないことは宅建業法違反となります。
また、売主であれば自分の物件が実際にレインズに掲載されているかどうかを確認することができます。
そのため売主に不正が露呈し、ペナルティを課されるリスクが高いためこのパターンはあまりないといってもいいでしょう。

2.レインズに適切にデータを入力しない

図面データ、所在地、沿線名などのデータをきちんと入れないと、物件への問い合わせが減ります。
このようなデータを故意に入力しないというケースもあります。

3.レインズの取引状況でブロックする

レインズでは取引状況の表示について「公開中」「書面による購入申込あり」「売主都合で一時紹介停止中」の3つから選択できます。
「公開中」になっていなければ他の不動産会社からの連絡はきません。

4.他の不動産会社からの問い合わせに対応しない

レインズで物件情報を見た他の不動産会社からの連絡があった場合に、
「担当者が不在なので」「担当者が本日は休みなのでわかりません」
などと応対して、折り返しの連絡もしません。
何度連絡してもこのような対応をされると「これは囲い込みをしているな」と他の不動産会社からはわかります。
「その物件は売り止めです」「商談中です」「ハウスクリーニングしてから内見対応します」などと様々な言い訳をしてくることもあります。また、最近は「ご家族がコロナになったので内見対応はしばらくできません」といった断り文句もあるようです。

こんな感じでのらりくらりと他の問い合わせをかわしている間に、自社で買主を見つけようとするのです。

囲い込みを避ける方法

1.囲い込みをしないように牽制する

不動産会社との契約前に「御社は両手にこだわらないで売却活動してもらえますか?」
と営業担当者に念を押しておきます。
この約束そのものに何か効力があるわけではありません。しかし「この売主はよく知っているから囲い込みしたら危ないかもしれない」と思わせる効果は確かにあります。

2.レインズの登録をこまめに確認する

専属媒介契約または専属専任媒介契約を不動産会社と結んだ場合は、レインズの「登録証明書」という書面がもらえます。

引用:東日本不動産流通機構
この証明書に記載のURLにアクセスし、IDとパスワードを入力することで、売却する物件がどのように登録されているかを確認することができます。

引用:東日本不動産流通機構

所在地などの物件情報が正しく入力されているか?また、取引状況を必ず確認しましょう。
まだ売却活動中にもかかわらず「公開中」となっていなければ、囲い込みが行われている可能性が濃厚です。

3.媒介業務報告書を確認する

専属専任媒介契約を結んだ場合1週間に1回、専任媒介契約では2週間に1回、売り主に対して媒介業務報告書の提出をしなければならないことになっています。
この報告書には前回の報告書提出以降「どのような営業活動をしたのか」「反響はどうだったか」といった内容が記載されています。

いつも同じような内容しか書かれていない、反響がなかったといった報告が多い場合には、囲い込みも疑われるものの、熱心に売却活動を行っていない可能性がありますので、不動産会社に確認をしましょう。
熱心にいつも確認してくる売主に対しては、手を抜かずに売却活動を行ってくれる可能性も高まります。
囲い込みを行っていることによって買主をなかなか見つけられない場合は、しつこく催促していると囲い込みをやめる可能性もあります。

4.他の不動産会社から連絡してもらう

内見の依頼がまったくないような場合には、囲い込みが行われている可能性があります。
裏技ですが、知り合いに不動産会社がいればその不動産会社から問い合わせてもらうという方法もあります。
内見がないにも関わらずその物件は商談中だと言われたら、囲い込み確定です。
担当者がいま不在と言われた場合、その電話の直後に自分から担当者に電話をしてみましょう。さっきは不在と言っていたのに、売主からの電話にすぐでたのであればこれも囲い込み確定です。

解約を申し出るかそれが嫌であれば、契約期間は原則3ヶ月間なのでその期間が満了したら他の不動産会社と契約しましょう。

5.不動産会社のフリをして連絡してみる

これも裏技です。
囲い込みが疑われる場合で、不動産会社に知り合いがいない場合です。
自分自身が電話をかけるのではなく、兄弟や友人などに不動産会社のフリをして電話をかけてもらいます。折り返し電話がかかってくる可能性があるので、公衆電話などからかけてみるのがいいでしょう。

不動産会社に電話をして
「〇〇不動産の〇〇です。A市B町の3,200万円の戸建ですが、大丈夫ですか?」
※ここの◯◯はなんでもかまいません。

と質問してみます。

「大丈夫です。」
と言われれば囲い込みはされていないです。
「大丈夫ですか?」と聞くだけでなんのことかわからないと思うかもしれませんが、これは不動産業界では物件確認、通称物確(ぶっかく)というものです。
その物件の案内が可能かどうかを、必ず買主側の不動産会社は確認するのです。
先方の不動産会社から「大丈夫です。」と言われればそのあとは「分かりました。ありがとうございました。」で通話を終わりにしてOKです。

このような方法もなくはないですが、正直お勧めはしにくいです。堂々と電話できればいいのですが、そんな演技ができる人はあまりいないでしょう。
ここまでするほど不動産会社を信頼できないなら、契約期間満了を待って他の不動産会社と契約するか、次に説明する一般媒介契約にしたほうがいいかと思います。

6.一般媒介契約にする

囲い込みが起こるのはそもそも売主と契約している不動産会社が1社だけだからです。
専任媒介契約や専属専任媒介契約であれば、1社だけしか販売活動を行うことができません。
これに対して一般媒介契約にすれば、販売活動を行う不動産業者が複数になるので囲い込むことは物理的に不可能になります。


媒介契約の種類とメリットデメリットについては「不動産を売却する前に絶対知っておくべき3つの媒介契約」にて詳しく説明しています。
もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。


しかし、一般媒介契約では不動産会社が頑張って売却活動をしても、最終的に他の不動産業者が売却にこぎつけた場合、タダ働きになってしまいます。そのためあまり頑張って販売活動をしてくれない可能性が高いのです。

もし、売ろうとしている不動産が利便性の高い土地であったり、築年数の新しい家が建っていたりといった、売りやすい物件であれば一般媒介契約を選ぶのは良い選択でしょう。
熱心に売ろうとしなくても、買主側の不動産会社が物件を見つけてどんどん問い合わせてくるからです。

まとめ

囲い込みを防ぐことは現実問題として非常に難しいです。
しかし、防ぐことがまったくできないかというとそうではありません。ここに記載した内容を実施すれば囲い込みの危険を大きく防ぐことができるのです。
同業者としてはあまり書いてほしくないような内容についても、あえて踏み込んで書いてみたつもりです。参考にしていただければ幸いです。

しかし、そもそも「囲い込みをしない不動産業者を選ぶ」ことが最も望ましいのです。
会社の規模や知名度で選ぶのではなく、良心的に長年営業を続けている業者を選ぶのがよいのです。

当社ハナイアーバンプランニングは、埼玉県の川口市で20年以上営業を続けている地域密着の不動産会社です。正直に誠実に一人ひとりのお客様と向かい合って来たことで今日まで営業を続けてまいりました。

是非、川口市及びその近隣で、不動産を売却したい、その他土地活用など不動産に関することであれば何でもご相談ください。
当社は不動産を専門とする弁護士、司法書士、税理士といった専門チームによる強力なサポート体制と長年の経験による豊富な知識で、お客様にとって幸せをもたらす不動産取引を実現いたします。


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