不動産コラム/ COLUUMS
不動産の売却にかかる消費税について不動産のプロが簡単にお伝えします
公開日: 2023年3月31日 更新日: 2023年6月27日
はじめに
消費税が10%になってからかなりたちました。上がった直後は消費税を意識していても、慣れてしまいあまり意識しなくなった方も多いのではないでしょうか。
しかし、高額な商品を買う場合には「やっぱり10%って大きい」と改めて意識するものです。
家は人生の中で最も大きな買い物です。家を売りたいと思っているのであれば、自分が買う立場ではなくてもやはり消費税は気になるのではないでしょうか。
不動産には様々な法律がからんでいるため、ひょっとしたら売る側にも消費税がかかるのかもしれないと不安になる方もいらっしゃるでしょう。
そんな方のために、不動産の売却において、どんな項目に対してどれだけ消費税はかかるのか?をわかりやすくお伝えします。是非ご覧ください。
ざっくりと結論だけ知りたい方はまとめをご覧ください。
個人が不動産を売却する場合原則的に消費税はほとんどかからない
結論からいいましょう。
不動産を売却しようと考えていらっしゃる方が、個人事業主や法人ではない一般の個人であれば、不動産の売却そのものに消費税はかかりません。
不動産を売るためにかかる諸手続きには多少の消費税は発生しますが、通常はそれほど大きな金額にはなりませんのでご安心ください。
何に対して消費税はかかるのか
消費税は国内の以下の条件をすべて満たす取引に対してかかる税金です。※1
(1)事業者が事業として行う取引
(2)対価を得て行う取引
(3)資産の譲渡等
一般の個人が不動産を売却する場合は(1)の条件に当たらないので、消費税はかかりません。
メルカリなどの個人売買で、物を売った場合に消費税を払わなくてもいいのだろうか?と不安に思った方もいらっしゃるかもしれません。しかし、個人は消費税を払わなくてもよいので、不動産売買もこれと同じなのです。
ここで、話を終わりにしてもいいのですが、せっかくなので(2)(3)についてもふれさせていただきます。
(2)について:
不動産を売る対価として、お金をもらうため(2)の要件を満たします。
(3)について:
不動産自体が資産にあたるため(3)の要件を満たします。
したがいまして、一般の個人なら消費税はかからないのですが、消費税納税の義務のある事業者であれば不動産の売却にあたって消費税がかかります。
しかし個人でも全く消費税がかからないわけではない
前述の通り、一般の個人であれば不動産の売却そのものに消費税はかかりません。しかし、不動産を売却するにあたって、他の人に手伝ってもらった場合、その手伝ってもらった対価に対して多少なりとも消費税が発生します。
不動産を売却する場合は以下の2項目について消費税が発生します。
● 仲介手数料
● 司法書士への報酬
いずれも自分で行えば必要なく、当然のことながら消費税も必要ありません。しかし、いずれも自分で行うのは難しいため、通常は支払うものと考えてよいでしょう。
仲介手数料とそれに伴う消費税
自分で不動産を知人などに売る場合はかからない費用です。しかし、自分自身で不動産の買い手を探すのは非常に難しいため、普通は不動産会社に販売活動を依頼します。v
首尾よく不動産会社が買い手を見つけて、売却に成功した場合に不動産会社に支払う報酬が仲介手数料です。
仲介手数料は物件価格が400万円を超える場合、売却金額の3%+6万円です。例えば物件価格が3,000万円であれば、3,000万円×0.03(3%)+60,000円で仲介手数料は96万円となります。
96万円に対しての消費税なので、10%の9万6千円が消費税となります。
少し大きい金額ではありますが、3,000万円という売却金額に比べると小さい感じはしますよね。
司法書士への報酬とそれに伴う消費税
不動産を売る場合、所有権を他の人に譲り渡したということを公的に証明する手続きが必要になります。この手続きを代行するのが司法書士ですが、司法書士に依頼するとこれも報酬が必要になります。
抵当権抹消の手続きの有無によって報酬は変わりますが、いずれにしても2万〜3万円程度なので消費税は2〜3千円程度です。不動産の売却金額から考えるとこちらも大きな金額ではないといえるでしょう。
納税の義務のある事業者とは
一般の個人であれば、不動産の売却の際に消費税はかからないということをご説明しましたが、では消費税がかかる事業者とはどんな人を指すのでしょうか。
消費税を払う事業者となっている人は、その義務があることを知っているはずですが簡単に説明しておきましょう。
法人
法人とは株式会社や有限会社、合同会社、NPO法人といった組織を指します。このような組織が不動産を売却する場合には消費税がかかるのです。
個人事業主
開業届を出して営業している人のことです。街中で目にする多くの個人商店や飲食店、フリーのデザイナーといった事業主などがこれにあたります。
個人事業主は消費税を納める義務のある人とない人に分かれます。
厳密に説明しようとすると近年話題となっているインボイス制度の導入などもあり、「消費税を納めるべき事業者とは誰か」は非常にややこしい話となってしまうため、ここでは深入りしないことにします。
大雑把にいえば、前々年の売上が1,000万円を超えている事業者がこれにあたると考えておけばだいたい間違いありません。
納税の義務のある事業者は建物の売却代金について消費税を払う
納税の義務のある事業者であれば、不動産の売却の際に消費税がかかります。
しかし、不動産の売却代金の全てに対して消費税がかかるわけではありません。
土地の売却については消費税はかかりません。
消費税とは「消費するもの」に対してかかる税金だからです。
不動産の売却代金について、建物の分だけが消費税の対象となるのです。
例を挙げてみましょう。
土地が2,000万円、建物が1,000万円の合計3,000万円の場合
建物の1,000万円にだけ消費税がかかるので、消費税は100万円となります。
しかし、自分の住んでいる家を売る場合に「3,000万円で売りたい」ということだけは決めることができても、土地と建物の割合を決めることは非常に難しいのです。
どうやって決めるかは税金の専門家である税理士でも、簡単には決めることができない問題になります。様々な基準をもとにしてその都度決めるしかないのです。
(1)譲渡時における土地および建物のそれぞれの時価の比率による按分
(2)相続税評価額や固定資産税評価額を基にした按分
(3)土地、建物の原価(取得費、造成費、一般管理費・販売費、支払利子等を含みます。)を基にした按分
国税庁は建物と土地の代金の分け方について上記の3つの基準を提示し、これに基づいて合理的に割合を決めなさいと述べています。
つまり、はっきりとした正解はないということです。不動産の売却代金のほとんどを土地にしてしまえば消費税はほとんどかからなくなるということです。
しかし、合理的な説明ができることが必要なので、極端な割合にしてしまうことは避けなければなりません。
まとめ
ここまでの説明をまとめますと。
● 一般の個人であれば、不動産の売買そのものには消費税はかからない。しかし、不動産会社へ支払う仲介手数料と、司法書士への報酬には消費税がかかる。目安としては、売却金額の0.3%程度
● 課税事業者であれば、売却する不動産の建物代金にだけ消費税がかかる。建物と土地を同時に売却する場合は、建物と土地の代金の割り振りは国税庁の示す基準を参考にして合理的な説明ができるように決める。
こうやってまとめてみると比較的簡単ではないでしょうか。
建物と土地の代金の割り振りだけは難しいのですが、こちらは不動産のプロの意見を参考に決めるのがよいでしょう。
ハナイアーバンプランニングは平成14年に創業し、川口市を地盤として長年営業してきました。
地域の不動産売却の頼れるパートナーとして、これまで様々なお客様からご支持を頂いてまいりました。不動産の売却に際して、お困りごとがありましたら是非ご相談ください。
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