不動産コラム/ COLUUMS
家を売るなら!リフォーム?ホームステージング?何もしない?費用対効果が高いのはどれ?
公開日: 2025年12月26日 更新日: 2025年12月26日
目次

写真:tomozone / PIXTA(ピクスタ)
住まいの売却を考えている方にとっては、少しでも高く売りたいと思うのが常でしょう。その際、「リフォームしたほうがいいのか」など、ご自身で住まいに手を加えることを考えるかもしれません。今回は、売却時に手を加えたほうがよいのか、手を加えるならどのような方法があるのか、あるいは、何もしないほうがよいのかについて、費用対効果を含めてご紹介します。
売却時の選択肢は4つ
住まいの売却を考えるとき、「今のような汚れがあると売却価格に影響するのでは」と思うかもしれません。こんなときはどうすればいいのでしょうか。
売却時には、次のような選択肢があります。
1)フルリフォーム
室内全体をフルリフォームして、新築同様の住まいにする
2)ちょいリフォーム
古さが気になったり、汚れが気になったりする箇所などわずかな箇所をリフォームする
3)バーチャルホームステージング
コンピュータグラフィックを使って家具や照明などに工夫を施し、画面上で室内をモデルルームのような印象を与える部屋にする
4)何もしない
そのままの状態で売却する
順番に見ていきましょう。
リフォームに費用をかけて価格に転嫁できるか?

写真:TreMauve / PIXTA(ピクスタ)
1)フルリフォーム
「子どもが巣立って空いた部屋があるが、久しぶりに見てみたら、カビが生えている箇所が多くあった」「キッチンが古いタイプなので第一印象がよくない」など、住まいが古い、時代遅れの設備がある、などの理由から、「売る前にリフォームしようか」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、結論からいえば、この方法はあまりお薦めできません。その理由として、主に次の3つの理由が挙げられるからです。
●リフォームには多額の費用
リフォーム、なかでもフルリフォームには、かなりの費用がかかります。具体的にどの程度、かかるのかを見てみましょう。

・リフォームにかけた金額
出典:https://www.j-reform.com/publish/pdf/jitsurei-R5-c.pdf
2023年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査/一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会
上記のデータによると、築年に違いはあるものの、200万円台から最高で500万円近くかかっています。しかし、買主によって好みは異なるため、このリフォームにかけた費用をそのまま転嫁できるかは不明です。
また、売却の交渉を進めていくなかで、たとえば、早く売りたいと思っていたら、値下げを依頼されて受け入れざるをえなくなるかもしれません。中古住宅は、売り主と買い主の事情によっても価格が変わってきます。ですから、そのままリフォーム分が売却価格に転嫁できるとはいえないのです。
●不動産会社のリフォーム物件との競合
最近では、不動産会社が住まいを買い取り、フルリフォームして売りに出す場合が多くあります。そうなると、そのような「プロの視点」でリフォームされたものと、個人がリフォームして売り出す物件が、競合することになります。プロのリフォームは、やはり細かいところに気配りのあるものになりますし、何よりも、リフォーム業者との接点があるため、一般の方が行うリフォームよりも、リフォーム費用を低く抑えられます。
ここで、同じマンション内で、まったく同じ間取りの同じ階の2つの住戸が売りに出されていると仮定しましょう。一方が個人で行ったリフォーム、もう一つは、不動産会社が行ったリフォームです。リフォームにかけた費用は、不動産会社のほうが安くなるのですから、販売価格も抑えられます。さらに見た目も歴然と異なるでしょう。どちらが売れやすいかは一目瞭然です。
●工事費アップや工期のズレ
個人でリフォームを行う場合は、次のようなリスクもあります。
たとえば昨今、工事費の上昇や工事期間が予定通りに終了しない事例が増えています。工事内容を考えている間に、見積もりで提示された金額の期間が過ぎてしまい、リフォーム金額が見直されてアップすることは珍しくありません。当初の予定よりも工事期間が延びることもよくあります。2週間程度で終わるはずが、1カ月かかる、となると、人件費が増えるのですから、総額も膨れます。
このようにみてくると、個人がフルリフォームを行い、売却するというのは、実際には難しいことがお分かりになられるのではないでしょうか。
実際にリフォームを行った方にアンケートをした結果(以下)をみても、住まいを売却するためにリフォームをしたという回答はほぼゼロです。

・リフォームの動機
出典:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001767858.pdf
令和5年度 住宅市場動向調査 報告書/国土交通省 住宅局
費用をかけないリフォームの場合は…

写真:ひとり君 / PIXTA(ピクスタ)
2)ちょいリフォーム
もう一つ、フルリフォームほど手をかけず、一部だけをリフォームする「ちょいリフォーム」も選択肢に上がります。
結論からいえば、こちらは「ケースバイケース」です。
ちょいリフォームの例としては、ひどい汚れのある部屋の壁紙だけを取り換える、蛇口の水が止まらず、ぽたぽた落ちているなら、水道のパッキンを取り換えるなど。最低限のリフォームを行う方法です。
この場合は、どこをどの程度まで費用をかけるかを不動産会社と十分、打合せするのが大切になります。たとえば、壁紙だけを取り換えることでそのまま住める状態になるのであれば、こちらで行うほうがよい場合もありますし、逆に、買い主が壁紙を張り替えることで、早く売れることもあります。
ちょいリフォームは、費用をあまりかけずに行える分、逆に、どこをどのようにリフォームするのがよいか、いくらまでかけられるか、そして、いつまでに工事が終わるか、売却価格にどの程度、反映できるかといったことを事前に練るのが大切になります。個人で判断せず、売却を依頼する不動産会社とよく相談しましょう。
依頼する不動産会社には、大手や地元密着型がありますが、住まいのあるエリアでの実績が多い不動産会社を選ぶようにしましょう。実績が多い不動産会社は「このエリアでは、こういった世帯に好まれるので、このようなリフォームが適しています」などと提案をしてくれるはずです。
バーチャルリアリティで住まいのイメージを変える

写真:metamorworks / PIXTA(ピクスタ)
3)バーチャルホームステージング
ホームステージングとは、小物や家具、照明などのデザインや置き場所を工夫し、モデルルーム同様の室内にすることです。不動産会社が、自社の販売物件で、内覧に来られる方向けに、美しく整った印象や、住まい方や暮らし方のイメージを持ってもらいやすくするために行われています。
一方で、リフォームを検討するような築年たった住まいを持つ個人が、室内の家具や照明を取り換えてモデルルームのようにすることはあまり一般的ではありません。数十万円から百万円以上の費用や手間がかかるうえ、その費用分を価格転嫁しづらいからです。
ここで、個人の売り主が検討したいのは、コンピュータグラフィックを用いた「バーチャルホームステージング」です。
最近、新築物件でも、バーチャルリアリティ(VR)を用いたモデルルームの紹介を目にしますが、中古の室内でも、このようにパノラマ形式で、家具や照明を自由に変更し、居住後のイメージを提供することができます。
いろいろなパターンができるのがメリットです。家具のない室内だけの広い空間にしたり、360度いろいろな角度から細部を見られるようにできたりもします。室内をメインに窓の外を見るようなシーンや、住まいを斜め上から俯瞰して見るようなシーンをつくることも可能です。
費用は、数万円程度で済むのもうれしいところ。これは、実際にリフォームすることと比較して、費用対効果は一定程度あるといえるでしょう。
現状のまま売り出し、買主のリフォームが一般的

写真:nasimusi / PIXTA(ピクスタ)
4)何もしない
メリットが多いのが「何もしないで現状のまま売りに出す」方法です。
ここで、「これだけ使い込んだ設備や室内の汚れをそのまま内覧してもらうのは恥ずかしい」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。購入後にリフォームする事例や、不動産会社がリフォームして売りに出す例が多いので、古くても、掃除を丁寧にしておき、清潔そうな印象を与えるのが一番です。
たとえば、蛇口やお風呂など、水回りを磨くだけでステンレスはピカピカになります。カビを取るだけで古いお風呂のイメージは一新するでしょう。花を飾って家具の位置を少しずらして、角度を考えた写真を撮るだけでも印象がぐっと変わってきます。
これにそれほど費用はかかりません。ターゲットを絞り、市場の適正価格で売りに出すのが適切な方法ではないでしょうか。いわば、費用対効果は高いといえるでしょう。
ここで、「リフォームをしなくても、大丈夫なのか」と心配になる方がいらっしゃるかもしれません。
一般社団法人不動産流通経営協会が購入者に尋ねた調査でも、リフォームをしてある物件よりリフォームしていない物件を購入する層が多くなっています(以下)。
●購入した住宅の概要

出典:https://www.frk.or.jp/suggestion/loanriyoujittai.pdf
一般社団法人不動産流通経営協会「中古住宅購入における住宅ローン利用等実態調査(2021年6月)2018年-2020年 購入した住宅
もちろん、リフォーム済みの物件のなかには、不動産会社が古い住まいを買い取ってリフォームをしたものが含まれているため、売主がリフォームしたものとの区別はありません。ただ、リフォームをしなくても購入する人が多くいる、ということは頭に入れておきたいものです。
また、築年数がたった住まいを売ることに心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、上記の一般社団法人不動産流通経営協会では、購入者に買った住まいの築年数を訪ねる調査も行っています(以下)。
●購入した中古住宅の築年数

出典:https://www.frk.or.jp/suggestion/loanriyoujittai.pdf
一般社団法人不動産流通経営協会「中古住宅購入における住宅ローン利用等実態調査(2021年6月)2018年-2020年 購入した住宅
これによると、中古一戸建てでも「43.0%が築21年以上」の住まいを購入しており、中古マンションの場合は、「31.0%が築26年以上」の住宅を購入しています。
このようにみてきましたが、「何もしない」という方法を選んだ場合、いつ売れるのか、あるいは、「本当に何もしなくてよいのか」と心配になる方も少なくないかと思います。
ここで、長期間、売れなかった場合には、不動産会社に買い取ってもらう方法があります。この選択肢を意識しておくことは、売却をする際の安心材料につながります。その意味でも何もしない、というのは賢い選択肢といえるのではないでしょうか。
いかがでしたか。住まいの売却について、フルリフォーム、ちょいリフォーム、バーチャルホームステージング、何もしないといったことについて、費用対効果を見てきました。
当社は、地元密着で、20年以上、営業を続けております。地域の不動産事情に詳しく、物件のメリットに目を向け、利活用方法をイメージしたご提案が可能です。不動産の売却にはぜひ、当社にご連絡ください。
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