不動産コラム/ COLUUMS
空き家という“資産”を“負債”にさせない!早めの売却を考えるべき5つのサイン
公開日: 2025年7月16日 更新日: 2025年7月16日
目次
出典:ELUTAS / PIXTA(ピクスタ)
「空き家になっている実家を相続したが使う予定がない」「親が施設に入って空き家になっている」「将来、住むつもりで空き家を置いている」。現在、空き家を所有している、あるいは今後、親の住まいが空き家になる可能性のある方は少なくないでしょう。けれども、その後のことを考えていますか。住まいは資産ではありますが、空き家の場合、早めに対策しないと、あっという間に「負債」に変わっていくのです。多くの空き家対策に対処してきたハナイアーバンプランニングが、早めの売却を逃さないための「5つのサイン」をお教えします。空き家に悩む方、必読です!
空き家は全国で900万戸超! 維持には費用もかかる
出典:Taka / PIXTA(ピクスタ)
総務省が、5年ごとに行っている「住宅・土地統計調査」によると、2023年の空き家数は900万2000戸、空き家率は13.8%。いずれも過去最高の数字を示しました。
このうち、「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」(※)は385万6千戸。前回調査の2018年と比べて、36万9000戸も増加しています。総住宅数に占める割合は5.9%で、こちらも前回より0.6ポイントアップし、こちらも年々、増えています。
※例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など (注:空き家の種類の判断が困難な住宅を含む)
出典:https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf
昔は『サザエさん』のような三世代同居が珍しくなく、住まいは住み継いでいくものでした。しかし、時代が移り変わり、親と成長した子供が別居するのが当たり前の時代になりました。将来的にも、親の実家に戻ることを選ぶ子どもは多くはないことが予想され、これからも空き家は増え続けていくでしょう。
ご自身がすでに相続したご実家を所有されているなどで、空き家の管理にお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。売りたいが売れるのかわからない、と悩んで決断できない方もいらっしゃるでしょう。それが「放置」になってしまいます。
空き家が放置される理由には、「考えがまとまらない」「兄弟姉妹の意見が異なる」「面倒だ」などから始まる「後回し思考」があります。しかし、それは次のような流れを産んでしまいます。
「いつか使うかもしれない」「愛着のある実家を手離したくない」という思いで、活用を決断できず、数年が経過
↓
草むしりや水道の通水などに実家に行くのが面倒。あるいは維持費が重荷になる
↓
毎年の固定資産税も負担になる
↓
足が遠のき、管理がおざなりになる
↓
雑草が生い茂りや老朽化などで近隣トラブルの原因に
↓
自分では手が負えなくなって放置するしか手がない
↓
近隣で問題の空き家になる
(悪循環のループへ)
これは現在、空き家を所有している人だけの問題ではありません。
今、ご両親が住んでいらしても、将来的に自分がその住まいで暮らすつもりがなければ、いずれそこは空き家。相続で取得することになります。今、相続した住まいは3年以内の登記が義務付けられていますから、持ち主が固定資産税などを支払うことになります。その予算は見込んでいるでしょうか。
他人事ではない空き家対策。その基本から知っておきましょう。
「空き家特措法」で持ち主に管理義務あり!
出典:TATSU / PIXTA(ピクスタ)
空き家に関して、法律があるのをご存じでしょうか。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空家等対策特別措置法、略称:空家特措法)」というものです。2015年に施行され、2023年に改正されました。空き家を所有している人は、適正な管理をしなければならないことなどを定めたものです。
同法では、空き家とは、次のように定義されています。
「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く」(空き家特措法2条1項)。
一例として、
・1年間を通して人の出入りがあるかどうか
・水道・電気・ガスが使用されているかどうか
などを総合的に見て判断されます。
空き家かどうかを判断するには、行政による敷地内の立ち入りが必要です。本来、誰であっても他人の所有地への敷地の立ち入りは難しいのですが、同法では、自治体が敷地に立ち入る権限を定めています。
そして、空き家かどうかや、管理状況などについて調査ができるようになっています。また、所有者を確認するために住民票や戸籍、固定資産税台帳などを利用できたり、水道や電気の使用状況などの情報を請求できたりと、所有者の情報を取得しやすくなっています。
管理をきちんとしていないと固定資産税がアップ!!
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通常、土地の上に住宅が建っていると、その土地の固定資産税が安くなる軽減措置が施されています。ですから、今、支払っている固定資産税は、本来支払うよりも低い額なのです。
ただし、空き家をほったらかしにしておいて、不具合のある状態になってしまい、自治体から空き家の管理について指導を受けてもさらに対応せず、勧告を受けてしまうと「特定空家」(*1)や「管理不全空家」(*2)というものに指定されてしまいます。こうなると、この固定資産税の軽減措置がなくなる可能性があるのです。
*1=放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態などのこと(詳細は後述)
*2=空き家のなかでも管理が行き届いておらず、放置しておくと「特定空家」に分類されるおそれのある空き家のこと。(改正法で分類が新設)。「通常住宅<管理不全空家<特定空家」の順で住宅の状態がひどくなる
特定空き家については、以下にもう少し詳しく状態を示しました。
●「特定空家」の指定条件
1.そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
2.そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
3.適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
4.その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
「空き家」が「特定空家」と認められるかどうかは、①空家の状態、②周辺への影響への程度、の両面から判断されることになります。
たとえば、例を挙げてみましょう。
・敷地内の樹木の管理がきちんとされておらず、腐っていたり、倒壊していたり、枝が折れていたりなどして、近隣の道路や家屋の敷地などに大量に散らばっている、近隣の道路等にはみ出し、歩行者などの通行を妨げている状態
・空き家に動物が住み着いて、鳴き声や動物のふん尿などの臭気、羽毛の大量飛散、ねずみや蠅、蚊などの発生、白アリの発生などにより、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている状態
・鍵がかかっていない、窓ガラスが割れているなどで誰でも入れるようになっている
・倒壊が著しく保安上、危険である
・汚物やゴミの異臭などで衛生上問題がある
・建物の管理が悪く、落書きや敷地内のゴミの散乱などで周辺の景観を損ねている
例でみてみましょう。
本来、空き家には
・一定の頻度で屋根ふき材の点検・補修等
・一定の頻度で立木の点検・伐採等
・一定の頻度で排水設備(浄化槽を含む)の点検・補修等
などを行わなければなりません。
しかし、管理が行き届かず、「管理不全空家」の状態は
・屋根ふき材の破損等
・立木の伐採等がなされておらず、腐朽が認められる状態
・排水設備の破損等
などが起きています。
そしてさらに状態がひどくなり、「特定空家」に指定されるような住宅は
・飛散のおそれがあるほどの著しい屋根ふき材の破損等
・倒壊のおそれがあるほどの著しい立木の傾斜、幹の腐朽
・汚水等の流出のおそれがあるほどの著しい排水設備の破損等
がみられるようになっています。
出典:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001732466.pdf
このような「管理不全空家」や「特定空家」に自治体から指定されると、固定資産税が約4倍(場合によっては最大6倍)、都市計画税も約2倍と大幅にアップしてしまうのです。これだけの分を長期に支払っていけますか?
川口市では、2025年1月に「川口市空き家対策総合実施計画」を定め、空き家対策に積極的に取り組むことを公表しています。川口市では、2023年の時点で2830戸(賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家)、腐朽や破損のある住宅は460戸に上っており、今後の増加が懸念されます。
川口市では全国平均に比べ、子のいない単身高齢者の割合が多く、今後所有者のいない空き家が増加する可能性があります。さらに密集市街地での老朽空き家による火災などの防災上の危険も懸念されます。
空き家の管理は所有者だけの問題ではありません。対応をしなければ、地域にも大きな影響を及ぼすことになるのです。
出典:
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0004021631
https://www.city.kawaguchi.lg.jp/material/files/group/117/kawaguchisiakiyataisakusougouzissikeikaku.pdf
空き家の管理や運用については、国土交通省が特設ページを作っています。以下のサイトも参考にしてみましょう。
●空き家対策って何?
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/akiya-taisaku/index.html
住まないなら、「資産価値」があるうちに売却を
出典:NOBU / PIXTA(ピクスタ)
では、どうすればよいのでしょうか。
もし、本当にその土地に将来も戻る気がないのであれば、お薦めしたいのが「早めの売却」です。
現在、不動産価格は上昇基調にあるため、資産化するのに適した時期といえます。
活用方法を決めないまま、「まずは残しておきたい」と考えていても、きちんとした管理が求められます。その間、固定資産税や管理費用、光熱費を支払っていかなければなりません。
そして、その費用は今後も一定額ではありません。日常の物価が上昇傾向にあるなか、空き家の管理維持費用も増額される可能性も見込んでおいたほうがよいでしょう。自分で立木の剪定や草むしり、通水など、全部できますか。実際には簡単ではないはずです。
また、数年間はきちんと管理できたとして、売却時に今以上によい条件で売れる保証はありません。
「荷物の整理が大変」「気持ちの踏ん切りがつかない」と言った“思い出”にとらわれてしまうかもしれませんが、それらはたとえば、動画で残したり、必要なものをトランクルームでいったん、保管したりする方法があります。このような対応で心の整理を付けることも可能ではないでしょうか。
こんなときは“売却を急いだほうがいい”5つのサイン
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では、具体的に早めに売却したほうがいいサインをお伝えしましょう。
1)維持費(税・管理費・草刈り費用など)に年10万円以上かかる
先ほど、空き家の管理には費用がかかるとお伝えしました。固定資産税や光熱費の基本料などは必ずかかる分です。さらに建物管理を業者に依頼すれば、毎月、一定額が必要です。台風や大雨のあとには、現地に行って空き家に被害が及んでいないかを確認する(確認してもらう)必要もあるでしょう。場合によっては修繕もしなければならないかもしれません。
これらの費用が年間10万円以上かかっているのであれば、それは売却のサインです。年10万円なら3年にして30万円。子どもの学費や住宅ローン、老後資金などを考えると、どの世代であっても、わずかでも無駄な出費は減らしたいものです。この金額を超えているなら早い段階で売却したほうが、よさそうです。
2)建物の老朽化で修繕費が見積もられている
築年が経った住まいであれば、台風のあとに外壁や雨どいの一部が落ちそうになっていたり、数カ月で草木が近隣住戸の敷地を超えて伸びたりしていることがあります。あるいは、鉄製の部分が大きくさびて、塗装をしないと落下して大きな事故が発生してしまう状態になっているかもしれません。大雨や台風後にテレビのアンテナが曲がった、地震で壁などにひび割れが入った、ということもあるでしょう。
これらの修繕費は、想定以上の金額がかかるのではないでしょうか。また、修繕は今回1回だけとは限りません。住宅が古くなるほど、今後、その費用は膨れ上がっていくのです。
これが、2つめの売却のサインです。
3)近隣からクレームが入った
人が住んでいない住宅は、すぐに荒れてしまいます。1カ月もすれば雑草は30センチくらい伸びるものもありますし、落ち葉が家の周囲に散乱したり、伸びた枝や実が隣の敷地に越境したりしてしまうこともあります。樹木の害虫が隣戸の庭に落ちるリスクもあります。
また空き家は見る人がみるとすぐわかるものです。過去には、人が忍び込んでいた話題もありました。これでは地域の治安上、よくないことといえるでしょう。近隣の不安をあおってしまいます。
自分は今、住んでいないとはいえ、かつてはその地域で暮らした住民です。過去であってもその地域のこと、住んでいる方のことに思いを巡らせてみませんか。
お伝えしたいのは、空き家の管理をしていないと近隣からクレームが入ることがある可能性です。しかし、それには腹を立てないこと。考え方次第で、クレームは迷いから脱け出し、背中を後押ししてくれるものなのです。それは、売却を決断する大きなサインです。
4)相続から3年以上経過しても利用予定がない
管理を3年やってみたとしましょう。そして、活用方法は決まったでしょうか。
・「自分で住む」⇒実家に引っ越ししてずっと暮らせますか、リフォームは不要ですか。
・「貸す」⇒そのまま貸せますか、リフォームが必要では。賃借人との関係構築や建物管理はできますか。
・「持ち続ける」⇒まだ費用を負担し続けることが可能ですか。これからは修繕費などさらに必要になりますが、大丈夫ですか。
3年間、管理を続けてきてもまだ、先が決まらない場合、今後も同様の状態が続く可能性が高いものです。いつかは決断の時期が来ます。所有している側もこれからどんどん老いていきます。管理を続けるにしても、売却するにしても、いろいろなことを理解して判断ができる今だからこそ、決める時期といえるでしょう。
目安として、「3年間、所有を続けた」というのは、頑張った実績とともに、売却を決める大きなサインです。
5)親の介護費用・施設費用が発生している
「親の施設費用を自分が負担しており負担が重い」。こういった方はいらっしゃるのではないでしょうか。施設に入居していなくても、日常の介護費が高額で、資金面で困っている方もいらっしゃるでしょう。
そこで利用できるのが空き家です。
空き家といっても、それは大きな資産です。
売却すれば、住まいは現金化できます。親の家なのですから、得た資金を親のために使いましょう。親側も、子どもの財布の出費が増えるのは、決して本意ではないはず。家を売却して、親のために使えば親も喜んでくれるはずです。
親の介護などで現金が必要になったら、それは売却すべき、という親からのサインです。
空き家の売却は特別! 実績の多い不動産会社へ
出典:ELUTAS / PIXTA(ピクスタ)
空き家の売却を決めた場合、どのような方法があるのでしょうか。
一般的な住まいの売却は、不動産会社に仲介の依頼をして、広告などを打ち、買い手を見つけてもらうという手順を踏みます。
しかし、空き家の場合は、この方法では簡単には買い主を見つけられないことがあります。それは、空き家は一般的に流通している住宅よりかなり築年経っていることが多く、市場で価格が付けづらいという面があるからです。物理的にみても、一定期間、使用されていないことでたとえば、室内のニオイや、シミ、亀裂などが目立つという面があります。荷物の片づけにも時間がかかるため、売る側にも体力が求められます。
そこでお薦めしたいのが、不動産会社に直接、買い取ってもらう「空き家買取」です。しかも、地元で実績を多く持っている不動産会社であれば、相場観や空き家の評価も適切です。
直接、売るメリットをお伝えしましょう。
1)室内が荒れていても現況のまま売却可能
親が急に入院し、そのまま施設に入ってしまったなどのケースでは、片づけられていない部屋がそのまま、残っている場合があります。ふすまに穴が開いている、という状況も想定されます。しかし、そういった場合でも、現況のまま、売却できます。
2)片付け・荷物撤去も不要なケースあり
昨今、産業廃棄物の分類が細かくなり、室内の残置物を捨てる際にも細かいルールが適用されるようになっています。しかし、不動産会社が直接、買い取るのであれば、片づけや荷物の撤去が不要なケースがあります。荷物を撤去するにしても、一部だけだったり、依頼を受けて対応できる会社をご紹介したりすることも可能です。
3)手続きがスピーディ
不動産会社が直接、買い取るのですから、すぐに現金化が可能です。買い手を探す時間は不要となります。また、不動産会社に仲介を依頼するわけではないので、仲介手数料は不要です。
売却というと、大手を考えてしまうかもしれません。しかし、空き家はその土地の価値がモノを言います。今後の活用方法もにらんで地元の不動産会社は適切なアドバイスや提案をします。
いかがでしょうか。
空き家の売却は、それぞれの方、それぞれの家のタイミングがあります。「今だ」と思ったら、それがチャンスなのです。ハナイアーバンプランニングでは、これまで川口市内で空き家の買取を多く行っており、お客様の立場に寄り添ったご提案をしております。
所有されている空き家、将来的に空き家になることにお困りでしたら、是非一度、ハナイアーバンプランニングにお問合せください。
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