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親の家を売却するにはどんな点に注意したらいい?

公開日: 2024年8月9日  更新日: 2024年8月9日

   

出典:pixta

子どもの頃に過ごした実家。ご両親やご兄弟姉妹との楽しい思い出がたくさん、詰まっているでしょう。けれども今、空き家になっていて、今後も住む予定がないのであれば、早めに手放したほうがメリットは多いのです。今回は、親の家を売却する手順と注意点をお伝えします。

親が施設にいるのであれば…

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「親の家を売る」といっても、現在、親がどのような状況にあるかによって、検討しなければならない状況が異なってきます。

今、親が施設などに入居していて、実家が空き家の状態であったなら…。子どもであっても、家を勝手に売ることはできません。その家の名義は親自身だからです。他の人の持ち物である家を売ることはできないのです。

では、どうすればいいのでしょうか。

親の意思は明確かどうか
ここで、親の意識がはっきりしており、「家を売ることを理解している」のであれば、その売却を手伝うことはできます。

大事なのは、親が家の売却について、強い意思を持っているということです。親にすでに体力がなく簡単に外出できなかったり、不動産会社とのやり取りが大変だと思ったりするような状態でも、思考がはっきりしているかどうかです。

この場合は、親から署名と捺印のある「委任状」を用意してもらいましょう。そうすれば、親に変わって家の売却に取り組むことができます。

・委任状の例

出典:https://houmukyoku.moj.go.jp/nagoya/content/001332032.pdf

親の判断能力に問題が出ているなら…
一方で、問題となるのは、認知症などにより、家を売ることについて、親自身の意思確認が難しい場合です。このような状態になると、相続が発生するまで、たとえ、委任状があっても、家を売却することはできません。勝手に売却をしてしまうと、その契約は無効になってしまいます。
ここで、親が認知症などで意思確認が難しい場合は、手間はかかりますが、「成年後見人制度」を利用する方法があります。成年後見人とは、判断能力を欠く人に対して、身の回りの世話や財産の保護などを行う制度です。

同制度には、本人がまだ判断ができる元気な状態のときに、子どもなど信頼できる人に、財産管理や契約締結などのサポートをお願いする「任意後見制度」と、認知症などをすでに発症しており、本人が判断できない状態になっている場合に、家庭裁判所が後見人を選ぶ「法定後見制度」があります。

出典:https://www.moj.go.jp/MINJI/pdf/leaflet.pdf

親に介護が必要となったときに、施設などへの入居費用に充てるため、自宅を売却するというのはよくある話です。けれども、そう考えているなら早めに準備をしておかないと、親が判断できない状態になっていると、家を売るのに周囲の人々が大変な労力を割くことになります。

普段からよくご両親に連絡を取り、折に触れて家をどうするかを話し合っておきたいものです。

親の家を相続したら…

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親が亡くなったら、その家を相続することになりますが、その後どうするか決めていますか。

将来的に住む計画があるなら、そのまま家を維持し続けるという選択肢はあります。

ただ、平成27年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家等対策特別措置法)という空き家に関する法律が定められました。令和5年には、同法の一部が改正され、所有者の責務が強化(適切な管理の努力義務)明記されています。
空き家には、定期的な通水や風通しなどのメンテナンスは必須。これらをしないままでいると、劣化が進みます。さらに、台風や地震、積雪後には住まいや敷地内の確認をしなければならないでしょう。雨漏りがあったり、壁面がはがれそうであったりするなら定期的な修繕も必要となります。またいうまでもなく、空き家であっても所有している限り、固定資産税がかかります。

出典:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000138.html

賃貸にする、という方法もありますが、居住性能を高めるためのリフォームは必須。そもそも立地や築年次第ではそう簡単に賃借人が見つからない可能性は十分、あります。

このようにみてくると、将来的にその家に住む可能性がほぼないのであれば、早めに売却することをお薦めします。

売却には税制上の特例も

相続した家を売却すると、以下のような税制上の特例が受けられることがあります。

一つ目の特例は、「相続税の取得費加算」(通称)という制度です。これは、不動産を相続して売却したときに利益が出ると、所得税や住民税を払わなければなりませんが、これが一定の条件下を満たしていれば税負担を抑えられる仕組みです。
ただし、売却期限があります。相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却する必要があります。

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm

二つ目は、相続後空き家となっていることが要件となる「空き家特例」(通称)というものです。これは、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売却した不動産が対象です。昭和56年5月以前に建築された住宅であることなどの要件があります。

出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

いずれの特例も細かい適用要件があります。該当するかどうかなど、当社にお問い合わせください。

相続が発生したときの売却までの流れ

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親の家の売却を考えているなら、相続が発生した時以降の流れはおおまかに次のようなものになります。
1)遺言書の有無の確認
2)相続する人を確認する
3)相続財産を確認する
4)遺産分割協議を行い、不動産を含めた遺産の分け方を決める
(不動産や預貯金などを誰が相続するかを決める)。
5)相続財産の名義変更を行う(例:不動産の名義を変更する)
6)不動産価格を査定する
7)不動産会社に家の仲介依頼をする
8)売却活動を実施する
9)買い主を見つけて契約
10)確定申告

順番に見ていきましょう。

1) 遺言書の有無の確認
遺言があれば、その遺言が優先されます。生前に遺言が残してあったかを確認しましょう。

2)相続する人を確認する
遺言がなければ法定相続人が不動産などの遺産を相続します。一般的には、相続する人は配偶者やその子どもになりますが、それ以外に相続人がいる可能性がないかを確認しておきましょう。

3)相続財産を確認する
相続財産は自宅だけとは限りません。預貯金や保険などはもちろん、不動産でいえば投資用マンションなどがないかも確認しておきます。

4)遺産分割協議を行い、不動産を含めた遺産の分け方を決める
相続人と話し合って、不動産やその他の遺産を誰が相続するかを決めます。相続人が複数、いる場合では、必ず全員で話し合う必要があります。一人でも参加しない人がいると無効になってしまいます。

・共有名義の問題点
不動産を均等に分けるために共有名義にする方法がありますが、全員が「売却」という意見で一致していないことがあります。一人が「持ち続けたい」と言い出せないままでいるようなそんな状態です。こんなときに、共有名義にしてしまうと、いざ売却の話が具体化したときに、この人が反対を表明すると、話が先に進まなくなります。早く売りたい人が、個人の持ち分だけを不動産会社などに売却することがありますが、こうなると共有名義人のなかに、血縁関係のない知らない人や会社が入ってくることになります。

共有名義にするときは、将来的な売却を視野に入れて十分、話し合っておきましょう。最低売却価格についても、決めておいたほうがよいのはもちろんです。

誰か一人が家を相続することにして、その人の名義にして、売却して得た利益を分けるようにする「換価分割」という方法もあります。公平に相続したいときや、相続税の資金にしたいときなどに適しています。遺産分割協議書の書き方が変わってくるので、司法書士などの専門家に相談しましょう。

なお、遺産分割協議に期限の定めはありません。なかには、何年も話し合っている事例もあります。もめないように上手な着地点を見つけたいものです。

相続税の納付は10カ月以内に

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ところで残された財産が多いと相続税の申告をしなければなりません。その期限は、相続の開始を知った日の翌日から10カ月以内に現金化する必要があります。遺産分割協議が整わなくても、不動産を時価で計算し、申告書を作成して期限までに支払います。納税が困難な場合は、延納の申告書を提出できますが、条件が限られています。

出典:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2022/pdf/E05.pdf

こういったことは税理士に相談したほうがよいでしょう。

5)相続財産の名義変更を行う
不動産の売却は名義人しかできません。名義を売却する人に書き換えましょう。

・相続登記が義務化
2024年4月から、相続した不動産の登記が義務化されています。期限は「所有権を取得したことを知った日から3年以内」です。正当な理由がないのに相続登記をしなかったなら、10万円以下の過料を科される可能性もあります。

注意したいのは、2024年4月1日以前に発生した相続にも登記が義務化されていること。親が亡くなっているのに登記を変更していないなら、今すぐに対応しましょう。

出典:https://www.moj.go.jp/content/001381141.pdf

相続登記に必要な書類を以下に挙げました(一例)。

◇遺産分割協議書がある場合
・遺産分割協議書(法定相続人全員の自筆署名と実印の捺印、印鑑証明添付)
・被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・相続人全員の戸籍謄本
・不動産を相続する人の住民票
・相続する不動産の固定資産税評価証明書

◇遺言がある場合の必要書類
・遺言証書
・検認調書か検認済証明書(公正証書遺言の場合は不要)
・被相続人の死亡が確認できる除籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・遺言により相続する相続人の住民票と戸籍謄本
・相続する不動産の固定資産税評価証明書

◇遺言も遺産分割協議書もない場合の必要書類(相続人が一人の場合や法定相続通りに相続する場合など)
・被相続人が出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・相続人全員の戸籍と印鑑証明書
・不動産を相続する人の住民票
・相続する不動産の固定資産税評価証明書

6) 不動産価格を査定する
相続登記が終わったら、売却活動に入ります。ここから先は3カ月から半年程度かかるとみておきましょう。しばらく空き家になっていた住まいであれば、手直しする必要があるかもしれません。早く売却したい場合は不動産会社に直接買い取ってもらう方法もあります。

築年がたった不動産などは、相場がわかりづらいことがあるので、地元の不動産会社に依頼するのがお薦めです。長年、地元で営業を続けている不動産会社は、相続した不動産を数多く扱っているため、過去の事例を多数、抱えているからです。担当者の転勤もないため、本人が携わった事例を話してもらえるでしょう。

査定を依頼する不動産会社に、空き家やその土地の事情をよく知っているかを尋ねてみましょう。直接、買い取ってもらうなら、金額や根拠も聞いておきましょう。

7) 不動産会社に仲介依頼をする

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査定価格の提示を受けたら、売却を依頼する不動産会社を決めます。ここで注意したいのは、「査定価格が高い」というだけで決めないということ。そういった会社は、確実にその価格で売ってくれることを保証しているわけではありません。残念ながら「会社として売り物件が欲しいだけ」というところもあります。高めの価格で売りに出しても、内覧が全くなければ、「値下げしないと売れませんよ」と言われるかもしれません。

こうなると、「少し低めの金額を提示したあちらの不動産会社のほうが、対応は丁寧で信頼できそうだったのに…」と後悔の念が湧きそうです。

不動産を売却するときは、査定価格だけに引きずられず、担当者の対応や、売却対象のターゲットをどう定めているのか、これまで似たような相続不動産を扱ったことがあるか、などを尋ねて総合的に決めましょう。

8) 売却活動を実施する
売却活動が始まります。内覧の際には立ち会う必要があるかもしれません。あるいは、立ち会わなくてもさまざまなことを尋ねられるかもしれません。いろいろな質問にも答えられるよう、想定して準備しておきましょう。

9) 買い主を見つけて契約
買い主が見つかったら、売買契約です。不動産会社が間に入って、重要事項説明書や契約書を作成してくれるので、納得の上、印鑑を押しましょう。

10) 確定申告をする
不動産を売却して、利益が出たなら、売却した翌年の2月16日~3月15日に確定申告をする必要があります。売却したら、所得税や復興特別所得税、住民税を払わなければなりませんが、確定申告では、所得税や復興特別所得税を払います。住民税は、確定申告をしたあとに支払うことになります。

相続不動産の売却もハナイアーバンプランニングにお任せください
相続した不動産の売却は、通常の不動産の売却と異なり、手間がかかります。さらに、誰にとっても一生に何度もあることではないため、節税などに関する知識も少ないでしょう。専門家の知恵がないとあると大変、助かります。

当社は、これまで相続不動産の売却に多数、取り組んでまいりました。営業開始して20年超、川口市内のさまざまな不動産を取り扱い、個人のお客様だけでなく、地主様、開発業者様など地域に根差した方々とのお付き合いがあります。売却された不動産がよい形で生まれ変わり、地域に貢献することを願って事業を運営しております。

相続した不動産の売却はもちろん、ベストなプランをご提案いたします。税理士や司法書士とも連携して個別事例にも対応いたします。ぜひ、一度、当社にお問い合わせください。


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