不動産コラム/ COLUUMS
古家付き土地は更地にして売るべきか?
公開日: 2022年11月4日 更新日: 2022年11月4日
目次
古家付き土地とは
「古家」とは古くなっているため価値がゼロとみなされている建物のことで、「古家付き土地とは」古家が建っている土地です。
住宅が建っている土地は、通常、「中古住宅」とされます。
しかし、建物に価値がない場合は「古家付き土地」として売りに出されることがよくあります。
では「中古住宅」と「古家付き土地」の違いとは何でしょうか?
古家付き土地・中古住宅・更地の違いとは
「中古住宅」と「古家」の明確な違いはありません。しかし、木造の木造の建物の法定耐用年数20年を超えると「古家付き」として売りに出されることが多いようです。
一般的に「古家」といえば、天井が落ちている、雨漏りがひどい、壁が崩れているなど、居住性能を復活させるには、建て替えに近いほどの費用が必要になるような古い住宅です。
一般的にはかなり老朽化が進んでいる住宅を指しますが、中にはリフォームをすれば住むことができる住宅もあります。
とはいえ多額の費用をかけて「古家」を住める状態にするよりも、「古家」を壊して、新しい住宅を建築する目的で購入することほとんどです。「古家付き土地」は購入者にとって建物を取り壊す費用が余計にかかるため、更地よりも土地の価格が安く設定されるのが普通です。
中古住宅はそのままの状態で、あるいはそれほど大規模にリフォームしなくても住める住宅を指します。
更地は建物がなく、土地だけが売りに出ている状態です。
家が建っていない分、敷地の広さや形状がわかりやすい点がメリットです。ただ、古家がある場合と比べると、解体費用がかからない分だけ価格はやや高めになっています。
古家付き土地を相続したら
家と土地を相続する予定がある方もいらっしゃるでしょう。相続後に更地にするか、その家を維持していくか悩むのではないでしょうか。
人が住まない家は老朽化するのが早いものです。そこで時折、窓を開けて風を通したり、水を流したりするだけでもある程度は傷みが抑えられます。しかし維持管理には費用がかかります。
まったくその家に住まなかったとしても、掃除のために水道、電気を契約していれば毎月水道光熱費の基本料金は必要になります。
台風や豪雨のあとには雨漏りがないか、周囲のものが飛んでいないか、などの点検や確認が必要です。遠方にあれば交通費もかかります。
また、万一のために火災保険にも加入するべきですが、空き家の火災保険料は、居住用よりも高めに設定されています。
そのため、古家を取り壊したいと思う方も多いでしょうが、これには多くのデメリットがあります。
古家を取り壊すデメリット
取り壊し費用がかかる
相続してすぐ、「更地にする」と決めても、その取り壊しには費用がかかります。
地域差はありますが、取り壊し費用は、木造住宅で坪あたり4万円から5万円程度はかかるのが普通です。建坪が30坪なら120万円から150万円かかる計算です。首都圏ではさらにかかる可能性があり、近年ではますます高額になる傾向にあります。
加えて庭木や敷石などがあればそれらを取り除く費用もかかります。
鉄骨造RC造であったり、敷地の全面道路に重機が入りにくい狭小な道路であったりすれば、更に割増になる可能性があります。
取り壊しには、少なくとも数百万円になるでしょう。
税金が高くなる
家が建っていれば、土地の固定資産税や都市計画税の軽減措置の対象になっています。
固定資産税は6分の1に、都市計画税は3分の1になります(後述の特定空き家を除く)。
しかし、家を取り壊して更地にするとこの軽減措置がなくなるため、税金が非常に高くなります。
家が建っているかどうかは、毎年1月1日の時点で判断されます。
このため、どうしても管理ができない、あるいは老朽化が激しい場合をのぞいて、焦って更地にするという結論を出すことは控えましょう。
少し維持管理の費用はかかりますが、しばらくは家を残したままの状態で、管理をしながら今後の運用を考えていきましょう。
売却を考えていたとしても、売り急ぐ必要はありません。
ただし、著しく劣化が進んでいる場合はこの限りではありません。
※「空家等対策特別措置法」という、空き家のトラブルを解消し、活用や維持管理を促すための法律があります。
空き家に適切な管理をしていないことで、行政から著しく景観を損なう「特定空き家」に指定され、さらに行政から勧告を受けても対処をしない場合、固定資産税・都市計画税の軽減措置は受けられなくなります。
勧告に従わなければ、命令が出され、違反すると最大50万円以下の罰金を支払わなければなりません。
古家付き土地として売却をお勧めするケース
以下のいずれかに該当する場合は、古家付き土地として売却するのがお勧めです。
・古い家にそのものに価値がある(古民家など)
・高額な費用はかかるが、リフォームを実施すれば住み続けることができる
・再建築不可(壊すと建物を建てられない)
・古家の解体費用が高額で、土地の査定価格のほうが低い
実家の相続などで古い家を所有した場合は、上記のうちいずれに該当するかを考えてみましょう。
また、購入する側の視点でも考えてみます。
「リフォームすれば住みたいと思う人が出てきそう」
「古いところがむしろ味がある」
などと思えれば、更地にして売るより有利になりそうです。
注意したいのは、「再建築不可」の物件です。
一度、壊して更地にしてしまうと、その土地に家を建てることはできない住宅です。「古家付き」の土地を買った人が、家を壊したあとに「建てられなかった」ということが起きます。
「再建築不可」の物件は、「都市計画法」で、計画的に街づくりを行うことを進めていくエリアである「都市計画区域」と、今後市街化が進むと見込まれるエリアに規制をかける「準都市計画区域内」だけにあります。
では「再建築不可」になになる物件の条件とは何でしょう。
それは建築基準法で「道路幅(幅員)4m以上の道路に2m以上接していなければならない」という決まりがあり、それを満たしていない土地には家は建てられないのです。狭い土地には、消防車や救急車が入れないから安全性を保てない、という理由があります。
では、法律に違反した状況で家が建っているのはなぜなのでしょう。
「都市計画法」は1968年、「建築基準法」は1950年にできましたが、建築基準法ができる以前や、都市計画法による都市計画区域の指定以前に建てられた住宅というわけです。
ただし、再建築不可物件は、増改築はできなくても、条件を満たせばリフォームは可能です。その条件は以下の通りです。
・2階建て以下
・延床面積が500m2
・高さ13m以下
・軒の高さ9m以下の木造建築物
※これらは4号建築物と呼ばれています
リフォームならできるので、古家を取り壊さないほうが絶対にいいのです。
更地にして売却をお勧めするケース
・住宅の老朽化が進みすぎて、いくらリフォームしようとしても住めないレベル
・建築確認申請を行ったのが1981年6月1日以前
1981年6月1日に建築基準法が改正されており、震度6~7程度の大規模地震でも倒壊しないように建物の設計を行うことが義務付けられました。
これ以前の建物は老朽化が進んでいる上に、地震に弱い構造である可能性が高いのです。
更地にするための解体費用の目安
先ほど、木造住宅の取り壊し費用は、相場として坪あたり4万円から5万円程度とお伝えしました。
ただし、家の構造(鉄骨やコンクリート造)、立地(機材が入るかどうか)、残置物(家具など)がどの程度あるか、廃棄物処理場までの距離などにも関わってきます。
解体を依頼する場合は、複数の業者から見積もりをとって比較検討しましょう。
業者を選ぶ場合「見積もり一式」と書かれている業者ではなく、細かく項目別に見積もりを示しているところや、質問に丁寧に回答してくれる業者を選ぶようにしたいものです。
結論としては不動産会社に相談するのがよい
では、これからも住む予定のない実家を相続したら、どうすればいいのでしょうか。
家が古いから更地しようという判断を下すのは焦りすぎです。
自分にはあまり価値を感じられなくても、他の人にとっては、価値がある土地や家屋の可能性があるからです。
とくに再建築不可の物件であれば、家を取り壊してしまうとほぼ使い道はなくなってしまいます。
売りたいと思っても、買ってくれる人がそう簡単に見つかるとは考えられないでしょう。
まずは古家付き土地を売りたいと思った場合、そのエリアに詳しい不動産会社に相談してみましょう。
不動産会社は、過去の経験から、その土地にふさわしい活用方法を数多く知っています。それをもとに提案してくれるからです。
古家付き土地は相続の問題を抱えていることが多いので経験のある不動産会社を選びたい
ここで注意したいのが不動産会社の選び方です。
その地域に強いといっても、駅前に降り立つと多くの不動産会社が目に入るでしょう。
そのなかには賃貸住宅に強い、土地活用に強い、売却に強い、など各社それぞれに特徴があります。その中からどうやって選べばいいのでしょうか。
相続に関する土地は、「登記が長期間変わっていない」「複数の相続人で共有になっていた」など、複雑な問題を抱えていることが少なくありません。
このため、売却を思い立ったとしても、からまった糸をほぐすように一つずつ問題を解決していかないと実際の売却にはたどり着かないことがあります。
いったん、不動産会社に依頼してみたものの、複雑な条件がありすぎて売却に至らなかったというケースもよくあります。
不動産会社側からすると、やってみて初めて、手間がかかりすぎることがわかり、途中で手を引いてしまったという例もあります。
ハナイアーバンプランニングは、これまで相続にまつわる土地の事例に数多く、携わってきました。
複雑な事例でも、時間をかけて調査し、その土地にふさわしい活用方法を提案してまいりました。
他の不動産会社様にご依頼していらしたお客様が、途中から弊社にご依頼いただいた事例もございます。
また、建物を解体するという結論に至った際にも、解体業者を選択するアドバイスも行っています。
さらに、相続や遺言に関する以下のようなご相談も承っています。司法書士などの専門家とともに、最適なご提案をいたしております。
●遺言作成
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ぜひ一度、ハナイアーバンプランニングにお問合せください。
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