不動産の知識
不動産売却のコツ
不動産コラム/ COLUUMS
不動産一括査定サイトって使っても安心?大丈夫?
公開日: 2022年6月2日 更新日: 2025年5月19日
目次

写真:tarousite / PIXTA(ピクスタ)
不動産の売却にあたって、まず真っ先に知りたいのは「いくらで売れるのか?」でしょう。
その目安となるのが不動産会社による「査定」金額です。そこで、インターネットでは、よく「一括査定」と銘打ち、一度の情報入力で、複数の不動産会社から査定価格を受け取れるサイトが複数、紹介されています。これは使っても大丈夫なのでしょうか。
一括査定サイトは、不動産会社に依頼するのと違う?
写真:K@zuTa / PIXTA(ピクスタ)
査定価格を得るには、不動産会社に直接依頼するか、あるいは、一括査定サイトを利用するかの二つの方法があります。
まず、不動産会社に直接依頼する方法をみてみましょう。
インターネットで、依頼をしようと思う不動産会社をピックアップし、直接、それらの会社に電話やメールなどでコンタクトを取り、査定を依頼します。査定には費用はかかりません。
査定には、売却希望の物件の情報をネット上に入力するだけの「机上査定」と、不動産会社の担当者が来訪して、物件を細かくチェックした上で査定する「訪問査定」があります。訪問査定のほうが、現物を確認するのですから、より相場に近い金額が得られます。
「不動産一括査定サイト」を利用する場合は、インターネット上にあるいろいろな一括査定サイトにアクセスして、登録している不動産会社に売却希望の不動産の情報住まいの情報を伝えます。利用料は無料です。
一括査定サイトは数多くありますが、それぞれ、登録されている不動産会社は異なっています。多くの不動産会社が登録しているので、そのなかから、3社から6社程度を選んだり、自動的に10社以上から査定価格が得られたりする場合があります。ただ、自分で1社ずつ選ぶ場合と異なり、すでにある中から選ぶようになっています。
こういったサイトを運営しているのは、仲介などを手がける不動産会社とは別の、インターネット事業を中心に手がける企業がほとんどです。
不動産会社は手数料を払うことで不動産を売却したいと考えている見込み顧客の情報を手に入れ、営業活動を行うことができるのです。
不動産一括査定サイトのメリットは何?
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不動産一括査定サイトにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
まず、売りたい人が自分で不動産会社を探す必要がない点です。不動産一括査定サイトに住まいの情報を入力するだけで査定価格が得られるのは、時間短縮になるのがメリットといえるでしょう。
次に、複数の不動産会社から査定価格を得られる点も利便性が高いといえます。不動産会社の比較検討もしやすくなるメリットもあります。
不動産一括査定サイトのデメリットは?
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メリットがある一方でデメリットもあります。順番に見ていきましょう。
●査定価格が本来より高めの場合が…
直接、不動産会社に依頼する場合にもないわけではありませんが、査定価格が本来よりも高めに出る可能性があります。
その理由として、まず視点を変えて、不動産会社側の立場で考えてみましょう。
不動産会社は、物件を売りたい人と買いたい人をつなぐ仲介によって業務が成り立っています。ですから、売却する物件が手元にないと仕事が始まりません。まず、物件獲得が業務のスタート地点になります。
また、不動産という商品の最大の特徴は、販売している不動産会社は仲介業務をしているだけで、仲介をする会社は複数になりうるのです。
不動産会社の売上は成功報酬です。売れて初めて収入が得られます。
ですから、売りたい不動産会社が複数いれば、自社を選んで買ってもらわなければなりません。
そこで、自社を選んでもらうためにいろいろなことを不動産会社は考えます。
不動産会社のなかには、残念ながら、自社だけに売却を依頼してもらうために、査定価格を高めに出す=「実際に売れる価格よりも高く見せる」ところがあるのです。
依頼する側からすると、「この不動産会社は、他社よりも数百万円も高い価格設定になっている。何か特別な売却の方法やつてがあるに違いない」と思ってしまうかもしれません。
しかし、そんなものは多くの不動産会社にはありません。よく「この物件をお求めの方がいます」というチラシが郵便受けに入ることがあるのではないでしょうか。本当に買いたい人がいる可能性はゼロではありませんが、実際のところ、不動産会社が、「売却するための物件を探している」ためのチラシであることがほとんどです。
ではなぜ不動産会社は、査定価格を実際より高くつけて提示するのでしょうか。
自社だけに売却を依頼してほしい!
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その理由をお伝えする前に、まず、不動産売却時の契約についてお話ししましょう。
不動産を売却するときは、依頼する不動産会社と「一般媒介」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」のいずれかの契約を締結します。
このなかで、「一般媒介」とは、複数の不動産会社に売却を依頼するものです。一方、「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」は、特定の1社のみに売却を依頼するものです。
不動産会社からすれば、「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」を締結できれば、自社でしかその物件を扱えないのですから、安心して売却活動に取り組めます。それは、売却時の報酬が確実に得られることを意味するからです。
こうなると、最初の査定で目を引くような価格を提示すれば「他社よりもこんなに高い価格で売れるんだ」と、思う人がいるかもしれません。これで、売りたい人が自社だけに依頼する可能性が高まりますね。
しつこく営業電話がかかってくる可能性も
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次のようなデメリットもあります。
複数の不動産会社がサイトの「査定」という入口を通じて、物件の獲得競争をしています。つまり、一度、連絡するとその後の営業電話やメール攻勢が激しくなる可能性があります。
「売りたい」という物件情報は、先に述べたように不動産会社にとっては非常に貴重です。なんとしてもその物件の依頼を自社にしてほしいものでしょう。連日、電話をしたり、訪問したりするのは、会社にとって仕事をもらうための大切な行動です。
10社に連絡が行けば、10社から営業電話がかかってくる可能性があります。これにいちいち断りを入れるのはかなり面倒です。
不動産一括査定サイトに隠れている根本的な問題、それは…
写真:xiaosan / PIXTA(ピクスタ)
不動産一括査定サイトにはもっと根本的な問題があります。
さきほど、不動産一括査定サイトの利用は無料とお伝えしました。不動産を売りたい側にとっては、とてもメリットがある話です。
けれども、運用しているのは、査定をする不動産会社ではなく、それらとは全く別の企業です。サイトの運営企業は、登録している不動産会社から利用料を得ているとお伝えしました。
ただ、不動産会社側のサイトの利用料は決して安いものではありません。
たとえば、不動産売却情報1件あたりが15,000円だったとします(実際は各社ばらばらです)。
1件の不動産売却情報を、10社の不動産会社に連絡するという不動産一括査定サイトの場合、単純計算で10%しか成約確率はありません。
15,000円×10%なので、1件の成約を取るため150,000円の経費がかかるということになります。
こうなると、不動産会社にとってみればこれだけお金をかけているのだから絶対に契約をとりたい!」と思うものでしょう。そこで、査定価格を実際よりも高めに提示して、物件の仲介を自社に依頼してもらおうとすることにつながるのです。
依頼後の営業がしつこい?
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先ほどから述べているように、不動産会社のなかには、かかった経費を取り返すために、無茶な営業をするところがみられます。
たとえばこんなことが考えられます。
・査定を実際よりも1割から2割増し、あるいはそれ以上の額を提示する
・電話を何度もかけたり、しつこく訪問したりしてなんとか売却依頼を取り付けようとする
こういったことが実際に頻繁に行われています。
ある人は、一度、物件の売却を依頼したところ、半年近く、連日、電話を受けたという話がありました。メールも毎日のように届く上、週末に突然の訪問もあり、「疲れてしまった」ということです。
高い査定につい、目が行ってしまう
ここまで読んでこられた方は、「1社だけ高い査定を提示されると、普通は『おかしい』と思うのでは?」と思うかもしれません。
たしかに、一括査定サイトにより10社から返答があったとします。9社は似たような価格であるのに、1社だけ1,000万円も高かったら、おかしいと思うでしょう。
ただ、なかには「9社はうちの価値がよくわかってない、やっぱりこの価格が正しいのだ!」と思ってしまう方がいるのも事実です。
自分が長年、暮らしてきた住まいには、誰しも愛着があるものです。
家のなかにはこだわりのポイントがあるでしょう。
周辺環境にも素敵なお店やリラックスできる公園など、お気に入りが数多くあるでしょう。
こういった自分の思い入れが、物件に対する客観的な目をくもらせてしまいます。
「こんないい住まいなのだから、これだけ高くて当たり前だ。ちゃんと評価してくれた」と。
ただ、他の人が、自分が評価する点を同じように評価するかはわかりません。むしろ、こだわりは他の人にとっては、意味のないものであることが意外にあるのです。
一括サイトは、すべての不動産業者を網羅していない
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不動産一括サイトは、多くの不動産会社が利用しているように思うかもしれませんが、実際は、かなり限定的です。
それは、これまで述べてきたように料金が必要となるからです。登録しているのは広告費が潤沢にある大手の不動産会社が中心です。
埼玉県を例にとって、不動産取引をしている会社はどのくらいあるのか確かめてみます。
インターネットで業種を検索できる「iタウンページ」を見てみましょう。
https://itp.ne.jp/
埼玉県内の不動産屋・不動産取引で検索すると2025年4月下旬時点で、5,608件ヒットします。
ただ、これらのなかには、不動産売買を行っていない会社も含まれています。ざっくりと、この件数の半分程度が不動産仲介を手がけている会社と推定すると、2,800社程度あると判断できます。
一方で、不動産一括査定サイトのなかで、もっとも有名なサイトのは「Home4u」です。このサイト内で、埼玉県で加盟する不動産会社をみてみると、大手が大部分とはいえ、上記の2,800社のごく一部です。
https://www.home4u.jp/sell/company/saitama
95%以上の不動産会社が不動産一括査定サイトに登録していないことがお分かりになるでしょう。
地元密着型の不動産会社は一括サイトに登録していないことが多い
写真:ジャバ / PIXTA(ピクスタ)
地域密着で長年、営業をしている不動産会社は、無理な営業をしないようにしています。だますようなやり方で営業をしていると、悪評がたってしまって存続してこられないのです。
しかし、一括査定サイトは利用料が高くつくため、無理な顧客のことを考えない営業をする業者がどうしても多くなります。そのような無理な営業をする業者と張り合わなければならなくなります。良心的に営業をしていると不利になる側面があるといえます。
地元密着型の良心的な不動産会社が、不動産一括査定サイトを利用する例は少ないのです。
一括査定サイトに登録している不動産会社であっても…
写真:ジャバ / PIXTA(ピクスタ)
査定の問い合わせがあったとしても、あまり真剣に向き合わない不動産会社もあります。
理由として、10社もライバルがいれば、自社が懸命に努力しても、契約につながる可能性は少ないからです。
不動産会社が物件情報を精査し、本当に売れそうな査定価格を提示しても、目を引く価格でなければ、実際に売りたい人から連絡は来ません。
ですから、一括査定サイトは、社名を知らせる手段と割り切っているところもあります。
親身になってくれる不動産会社に仲介してもらうには
写真:まちゃー / PIXTA(ピクスタ)
手間はかかりますが、自分で不動産会社を見つけて、査定を依頼するほうが成功する可能性は高まります。
なかでも、地元で長年、営業している会社であれば、実績は多く、地域に特化した情報網を張り巡らせています。
営業マンも短期に異動することがないので、一人のもつ情報の蓄積量も多いのが特徴です。一つひとつの要望に親身になって対応してくれるのも地元密着型の強みです。規模な小さいですが、一つ悪いウワサが流れると、その地域では営業できないというリスクをはらんでいるので、丁寧な対応もよい点でしょう。
一度、一括査定サイトを利用する以外の方法を試してみませんか。
埼玉県川口市に本社を置くハナイアーバンプランニングは、埼玉県内や隣接する東京エリアに密着して長年、不動産取引を行っています。マンション、戸建て、共同住宅を問わず、豊富な実績が強みです。
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