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不動産売却のコツ
不動産コラム/ COLUUMS
不動産の売却査定額とは何か?信用してもよいのか?【マンション編】
公開日: 2022年4月7日 更新日: 2022年4月19日
「売却査定額」とは不動産の売却活動を不動産会社に依頼した際に提示される「売り出してから3ヶ月程度の期間の間に、いくらぐらいで買い手がつくか?」を予測した額です。
どの不動産会社も売却査定額を予測する無料で売却査定を引き受けています。
ただ、ここで提示された査定額はあくまで予測であって、実際に売却できる価格ではありません。売却査定額とは、あくまでも売り出し価格を決める上での参考値なのです。
そのため、複数の不動産会社に売却査定を依頼すると、それぞれ違った金額が提示されるのが普通です。
目次
- 1. 売却査定方法には2種類ある
- 1-1机上査定
- 1-2訪問査定
- 2. 売約査定は必ず複数の不動産会社に依頼しよう
- 3. 数社に査定を頼んだら全然金額が違った場合に考えられる理由
- 3-1そもそも不動産が売れる価格を正確に予測することは難しい
- 3-2不動産業者による物件の得意不得意もある
- 3-3売却査定額は高めに提示する不動産業者がある
- 4. 媒介契約について
- 4-1一般媒介契約
- 4-2専属専任契約
- 4-3専属専任媒介契約
- 5. 自分でもある程度の相場観は持っておくべき
- 5-1レインズが提供しているサービスを使って近隣の売買実績から推測する
- 5-2匿名で瞬間瞬時にわかるサービスを利用する
- 6. まとめ
売却査定方法には2種類ある
売却査定には次の二つの方法があります
机上査定
不動産会社の担当者が現地に訪れないまま行う査定方法です。
マンションの築年数やエリア(住所)、間取り、階建て、階数などの売却希望者から伝えられたデータだけに基づいて査定します。
過去の類似した物件の物件売却価格をもとにして、おおまかに現時点での査定価格を導きます。
ただ、実際に物件の確認をしていないため、個々の物件の細かい特性は反映されません。査定価格は非常にざっくりとしたものになります。
「山田町の3丁目、築15年のマンション、3LDKで72平米、10階建ての7階、南向きですね。だったら、ざっくり2,100万円ぐらいじゃないですか?」というような感じです。
訪問査定
不動産会社の担当者が実際に来て、物件の状態を実際の目で見て調査し、細かい状況を査定価格に織り込んでいく方法です。また周辺環境なども確認します。
調査した内容をいったん持ち帰り、こちらも上記のように過去の取引事例などを参考にしながら、調査内容に基づいてプラス要素、マイナス要素を加味した上で査定価格を算出します。
物件を確認しているので机上査定に比べると査定価格の精度は高いものになります。
しかし、同じ不動産会社であっても机上査定に比べて、500万円以上も高くなるといったことはなかなかないようです。
売約査定は必ず複数の不動産会社に依頼しよう
物件査定は、必ず複数の不動産会社に依頼しましょう。
1社だけしか依頼してないと「査定価格=売却可能価格」と思い込んでしまいがちです。複数社に依頼すると、幅のある結果が出てきます。
幅があるのは当たり前なので、どこをどう評価した結果、その価格になったのかを不動産会社に聞いてみましょう。
その結果や経験、対応、担当者との相性などをもとに、売却を依頼する不動産会社を決めたいものです。
査定価格とその根拠の説明は、どの不動産会社に売却を依頼するかを決める「きわめて大きな情報源」ともいえるのです。
たとえば、ある不動産会社が、広いバルコニーでオール電化の物件を探している人から購入相談を受けているとします。
たまたま査定物件が広いバルコニーでオール電化であった場合は、即購入の可能性が高いかもしれません。不動産会社がそのような情報や顧客を持っていれば、早期の売却可能性を加味して、少し高めの査定価格をつける可能性は高いでしょう。
このような買い主の情報をもっているのであれば、他者より売却査定額が高いことには極めて信憑性があります。
複数の不動産会社に依頼すると、このような有力な情報を持っている不動産会社に出会える可能性が高くなるのです。
逆に、査定依頼を受けた物件周辺で同じような物件が複数、売りに出されているといった場合。また、同じマンションで物件が複数売りに出ているケースもあります。
これらが次々と売れていればいいのですが、いずれも半年たっても売れないことがあります。誠実な不動産会社であれば、このような点を加味して、他社より査定価格を低くつけるかもしれません。
このような価格の根拠を実際にデータにもとづいて説明してくれる不動産会社は、誠実な会社である可能性が高く、売却を依頼してもよいかもしれません。
数社に査定を頼んだら全然金額が違った場合に考えられる理由
そもそも不動産が売れる価格を正確に予測することは難しい
また、意識しておきたいのは、最終的に不動産の実際の売却価格は、「早く欲しい人がいるか」「早く手放したいのか」などの個別事情に大きく影響を受けるということです。
事情があって早く売却したい場合は、適正な売却査定額より低い価格で手放さざるをえないことが起きます。
加えて、購入希望者とは売却までにさまざまな交渉をします。
交渉中には「物件価格を少しでも引き下げてもらえないか」という依頼を受けることが少なくありません。
どの程度、受け入れるかは売主側の判断ですが、
もし、希望を受け入れなかった場合、購入をやめてしまう人もいます。減額を受け入れれば、当初の査定価格より安く取引することになります。
あくまで査定価格は売却のための参考価格といえそうです。
注意したいのは査定価格より低い金額で売ることになったとしても、その査定価格を提示した不動産会社は「悪徳」とはいえないことです。
不動産の売却価格を正確に提示するのは難しいもの。不動産取引は「その場限りの1点もの」個別の事情によって、相場は変動するということを認識しておきましょう。
不動産業者による物件の得意不得意もある
「査定複数の不動産会社に依頼するのが必須」とお伝えしました。それは、不動産会社によっては、その分野に「得手不得手」があることがあるからです。
たとえば戸建てを中心に多く手がけている不動産会社に依頼したとしましょう。
売却する物件がマンションであった場合は、不得手である可能性が高い可能性があります。周辺のニーズの掘り起こしや、過去に手がけた事例が少なく、精度の高い査定が難しいかもしれません。
また、物件のあるエリアの土地勘がなければ、査定価格に反映できない可能性もあります。
依頼する前に、その不動産会社の得意分野や過去の事例を知ることができればいいのですが、そんな情報が得られないことも少なくありません。
不動産会社の得意不得意という問題をクリアするためには、できるだけ複数の不動産会社に査定を依頼するようにしましょう。
売却査定額は高めに提示する不動産業者がある
一つ注意したいのは、なかには、他社と比べて目を引くような高めの査定価格を提示する不動産会社がいる点です。
一概にはいえませんが、インターネット上で物件情報を入力し、複数の不動産会社から査定価格を受け取る「一括査定」にはこの傾向がみられるようです。
その理由として、直接、不動産会社の担当者と売却希望者が会って話をしながら査定を行うわけではないため、「とにかく他社よりも目を引く『高額な査定』を提示し、自社に売却依頼をする契約(媒介契約)を結んでもらいたい」という狙いがあるからです。
このため実際に売れる見込みのない高い査定額を提示する不動産業者があるのです。
誰であっても、もっとも高い金額が提示されたら、そこに目がいってしまうのではないでしょうか。抜きんでて高い価格が出されたら、根拠を納得がいくまで質問してみましょう。
媒介契約について
査定価格が入手したら、どこの不動産会社に売却を依頼するかを決め、その不動産会社と売却を依頼する契約(媒介契約)を結ぶ必要があります。
この契約には、3つの種類があり、その違いは次のようなものです。
一般媒介契約
複数の不動産会社に売却を依頼できる契約です。
複数の会社が同時に売却活動を行うため、早めに売却できる可能性があります。
ただ、この契約を不動産会社側からみるとどうでしょうか。
複数の不動産会社が売却活動を手がけるとなると、他社がすでに売却活動に取り組んでいる場合は出遅れた分、買い主が見つけられる可能性は少ないかもしれません。
不動産売却による収入は成功報酬ですから、契約できなければかけた時間分の報酬は一切得られません。それまでにもし広告費を使っていたとしたらまったくこれも無駄になってしまいます。
このため、不動産会社にとっては、専任媒介契約や専属専任媒介契約(いずれも後述)を結んだ物件と比べると、一般媒介契約の物件は、売却活動が後回しになる可能性があります。
専属専任契約
売却活動を特定の1社に任せる契約です。
物件の媒介契約を売主と結んだら「媒介契約締結日の翌日から7日以内」に、国土交通大臣が指定した公益法人である不動産流通機構が運営するコンピューターネットワークシステム「レインズ(REINS)」という情報公開の場に、物件を登録し公開することが義務付けられています。
レインズとは、不動産会社のみが閲覧できる物件情報サイトのこと。レインズに登録すると購入希望者を抱えている、不動産会社が連絡してくることが期待できます。
レインズに登録すると売主側に対して、不動産会社から2週間に1回以上売却活動の報告が義務付けられています。
なお、売主から依頼を受けた不動産会社が、自社で買主を見つけると売主と買主の両方から仲介手数料を得られます。
売却価格が安くなったとしても物件を他の不動産会社に紹介しないで、自社で売った方が儲かります。そのため他社に物件を紹介しない不動産会社が多いことが問題になっており、これが欠点です。
専属専任媒介契約
専属専任契約と同様に売却活動を特定の1社に任せる契約です。物件の媒介契約を売主と結んだら「媒介契約締結日の翌日から 5日以内」に、上記に示した「レインズ」に物件情報を登録することが義務付けられています。
売却活動の報告は専属専任契約より細かく、1週間に1回以上に義務付けられています。
この契約を結ぶと、売主は自分で買い主を見つけてきても(知り合いや親戚など)、不動産会社に手数料を払わねばならないことになっています。
ところで、一般媒介契約の場合、レインズへの登録は義務ではありません。このため、登録しない不動産会社もあります。
不動産会社側からみれば、一番利益を得られる専属専任媒介契約を結んでもらいたいのが本音でしょう。
自社だけでじっくり売却を手がけられますし、成約すれば、売主が見つけてきた買い主であったとしても、必ず仲介手数料が得られます。
専属専任媒介契約を結んでもらうために、相場より高めの査定価格を提示して、目を引いて売主から物件の売買を委託する仲介(媒介契約)を結んでもらう狙いがある考えがあることを意識しておきましょう。
自分でもある程度の相場観は持っておくべき
査定価格が相場に近いのか、あるいはかけ離れているかなどは、売りに出す前に絶対に知っておきたいことです。
自分で相場観をもっていれば、高すぎる査定価格に目を奪われることはありません。
簡単にある程度の相場を知るには次の2つの方法があります。
レインズが提供しているサービスを使って近隣の売買実績から推測する
先ほど少し解説しましたが、「レインズ」というのは、国土交通大臣が指定した公益法人である不動産流通機構が運営する売却に関する物件情報をまとめたシステムのこと。レインズは、登録する不動産会社しか閲覧できないのですが、一般向けのコンピューターネットワークシステム「レインズ・マーケット・インフォメーション」というサービスもあります。こちらは、具体的な物件名はわからなくても、特定のエリアで、売却を希望する物件と似た物件について、取引の概要がわかります。
たとえば、埼玉県蕨市のマンションにおける取引事例を知りたいとしましょう。
(1)画面の「マンション」の項目に、埼玉県、埼玉県中央部、と入力し、検索をクリックします。
(2)より詳細な条件設定が出てくるので、一例として、「蕨市」「京浜東北・根岸線」「徒歩15分以内」「40m2~60m2以内」「築10年超15年以内」「成約時期3カ月以内」で入力し、検索します。
このような結果画面が表示されます。
(3)直近3カ月間の物件情報が出てきました。このなかで自分の住まいの条件に近いものがあるか、あるいはなかったとしても目安としてとらえるようにしましょう。
匿名で瞬間瞬時にわかるサービスを利用する
不動産の査定を依頼するには、「こちらの名前や物件情報を不動産会社に伝えなければならない」と思っている方も少なくないかもしれません。けれども、なかには自分の個人情報を伝えずに査定価格を知ることができるサイトもあります。その一つが以下になります。
得られた価格は目安としてとらえておきましょう。
まとめ
査定価格について頭に入れておきたいのは、どんな査定価格を提示されたとしても、最終的に売却価格は売主が決めるものです。
査定価格より高く売り出す事例もありますし、逆に大幅に価格を下げて売りに出す事例もあります。
査定価格には、不動産会社の過去の売却経験が加味されていることもあります。査定価格が得られたら、その根拠やどのような販売活動を想定しているのかを含めて質問し、売主の立場に寄り添ってくれるような、納得のいく不動産会社に任せたいものです。
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