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市街化区域と市街化調整区域

公開日: 2021年9月21日  更新日: 2022年4月21日

   

市街化区域と市街化調整区域

「どのような街づくりをするのか」ということは「都市計画法」という法律で定められています。その土地に家が建てられるかどうか、はその法律によって決められているのです。都市計画法では土地は「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引き区域」の3つのエリアに分類され、そのなかで住宅の建築が認められているのは「市街化区域」です。「市街化調整区域」では原則として、宅地造成などの開発や一般住宅の建築は認められていません。ただし、定められた条件を満たすことによって、例外として認められる場合もあります。

市街化調整区域の概要

市街化調整区域の特徴

市街化区域では無秩序な街づくりをしないため、住居系・商業系・工業系と細かく分類して「用途地域」を指定し、それぞれ建設する建物の用途や規模に制限を設けています。一方、市街化調整区域は市街化を抑制している区域です。原則として新しい建物は建てられません。ただし自治体によっては例外として、すでに開発許可を受けている場合、農家の分家のための住宅、既存宅地などで、条件を満たすことにより建築が可能になるケースがあります。既存宅地では原則として新築、増改築は認められていないので、もし増改築や建て替えを行う場合は開発許可を得て行う必要があります。特別な事情を除いては、住宅のための宅地造成は許可されません。たとえ許可されても建て替え時に規模が制限される可能性があります。このように、市街化調整区域内の土地は開発や建築行為が抑制されるということを知っておかないといけません。

注目しておくべきポイント

土地の価格と税金

市街化調整区域の土地の価格は、市街化区域に比べてかなり安くなります。土地の価格が安いので、固定資産税の課税額も大きく下がります。また、市街化調整区域は自治体などの都市計画に該当しないので、都市計画税を支払う義務はありません。

ライフライン

市街化調整区域の土地は市街地から離れた郊外や農地、山林が広がるエリアにあるので、基本的に不便な場所が多く、そのため、ガスや水道、電気などのライフラインが整備されていない場合が考えられます。また、将来的に整備が約束されていない場合もあります。せっかく土地を安く購入しても、水道や電気を自己負担で設置しなければならないなど、予想外の出費が発生する可能性があります。

住宅ローン

融機関による担保評価も低くなる場合が多いので、住宅ローンの申請が却下されるリスクがあります。もしローンを利用できたとしても、融資額は通常の不動産購入時に比べて少なくなるでしょう。こうした事情が、将来土地を売却したいと思ったときに障害となる可能性があります。地目が「農地」の場合や、面積が広大な土地の場合などは、さらに様々な制約が加わり、より売却を難しくします。

周辺環境

市街化調整区域は都心から離れた郊外で農地、山林のある土地ということで、一帯には豊かな自然環境が広がっています。交通の便が悪いとか周辺施設が充実していないなど、生活環境が整っているとは言えませんが、その分、のどかで閑静です。広い庭付きの一戸建てを作りやすいことや豊かな自然環境は、子育て世代の人にとっても興味深いエリアかもしれません。

市街化調整区域の調べ方

地方自治体の窓口

市街化調整区域について調べる方法として、まず地方自治体の窓口で確認する方法があります。説明を聞いても専門用語が多くて理解しづらい可能性はありますが、地方自治体による条例や建築基準法に基づく建築協定などに関わる土地については窓口で確認が必要です。

インターネット

インターネットを利用して、自治体が運営するウェブサイトを閲覧する方法もあります。地域名、市街化調整区域などキーワードを入力し、都市計画マップなどを確認します。

専門の不動産会社

開発許可など法的な手続きについては、専門の不動産会社に依頼するのがいいでしょう。市街化調整区域の不動産売買は制限が多く手続きは複雑なので、会社によっては取り扱いをしないところもあります。市街化調整区域も多く取り扱っている、経験豊富な不動産会社を探して利用するのが安心です。

市街化調整区域の土地活用

前述のとおり、市街化調整区域はでは原則として建物を建てることができません。そのため、市街化調整区域内での土地活用は難しいと考えられていますが、以下のような方法であれば、活用できる場合があります。ただし、土地の上に建物を建てると、土地の固定資産税が大きく優遇される特例が適用されるのに対し、建物を建てない場合にはその特例を受けることができません。またそれぞれ許可が必要となる場合がありますので、詳しくは行政や当社にお問い合わせください。

太陽光発電

太陽光発電は、市街化調整区域の土地活用としてはおすすめの方法です。大きな利益を期待するというよりは、集客に関わらず安定した収入が見込めること、メンテナンスなどの手間がほとんどかからないこと、太陽光さえあれば経営できるところなどがメリットです。立地や集客を気にせずに経営できますが、反面、初期費用が高く回収に時間がかかること、天候の影響を受けやすいこと、売電価格が変動することなどがマイナス面としてあげられます。

駐車場

駐車場の経営は市街化調整区域でも可能ですが、集客面に関しては立地が関わるので検討が必要です。コインパーキングにする場合には、設備の設置にある程度の費用がかかりますが、基本的に少ない初期費用で始められます。

資材置き場

資材置き場は、建物を建てられない市街化調整区域で利用しやすい方法です。管理の手間はかかりませんが、その分、賃料はそれなりです。近隣に資材置き場を利用してくれそうな会社や店舗があることも重要です。

開発許可の特例と手続き

市街化調整区域は原則として家を建てることができません。住宅を建てる場合には、都市計画法、建築基準法などの法律により、建築許可申請(都市計画法43条許可)や建築確認申請が必要です。ただし、中には農家用の住宅や用途変更のない増改築など、建築許可、開発許可が不要な建築物もあるので、まずは自治体窓口で事前に相談、協議を行い、開発許可を得られる可能性を確認します。見込みがある場合は順次、必要な手続きを進めていきます。

市街化調整区域では原則として農業目的以外の開発が抑制されていますが、下記のとおり都市計画法第34条を満たすと認められた場合には、区域内に建物を建築することが可能となります。

  1. 条例で指定した集落地区における開発行為
  2. 条例で用途を限り認められた開発行為
  3. 既存権利の届出に基づく開発行為
  4. 開発審査会で許可を得られた施設

市街化調整区域に限らず、土地の「地目」は不動産売買において重要なポイントです。土地の地目には、宅地・田・畑・山林・雑種地など様々な種類があり、それぞれ規制が違います。対象の不動産がどの地目に該当するのかを、確認しておく必要があります。

「宅地」の場合は、都市計画でその土地が市街化区域・市街化調整区域を指定される以前のものか、以後のものか、どちらにあたるかが重要となってきます。指定される以前から「宅地」の場合は建築許可が得られる対象になるからです。また、敷地を拡大する場合を除き、元々あった家を建て替えや増改築する場合には、一定の要件を満たすことで建築許可が不要となります。地目が「農地」の場合は基本的に農地としてしか売却できません。売却先が農業従事者に限定されるので、売却しづらいケースが多くなります。また、農地以外の用途で利用するためには、「農地転用」の申請を行う必要があります。農地転用が認められない場合、宅地利用はできないことになります。

開発審査会とは、都市計画法第78条に基づき、開発許可権限を持って自治体に設置される合議制の諮問機関のことです。各自治体によって開発審査会の提案基準があり、審査会の許可を受けて建築が可能になることがあります。いずれにせよ地方自治体によって規制内容が異なる場合もあるので、詳細を事前に確認することが必要です。

売却したいと思ったら

市街化調整区域の不動産売買は、買主の購入目的によって開発許可の要件が変わるという一面があるので、交渉が始まるまで契約がどう展開するか見通せません。様々な法令や規制が関わることなので、不測のトラブルを避けるためにも、不動産会社に売却を依頼するほうが賢明です。ただ、どの不動産会社でもいい、というわけでもありません。市街化調整区域の物件を多く取り扱っていて、困難な状況でも期待に応えてくれそうな、信頼できる不動産会社を見つけ出すことが大切です。

そもそも市街化調整区域の不動産は流通量が非常に少ないので、すべての不動産会社が市街化調整区域の売買に詳しいというわけではないのです。物件の評価額が低い場合が多く、仲介手数料が安くなってしまうとか、手続きが煩雑だということから、どうしても取り扱いを避ける会社が多いようです。でも、そんな事情だからこそ、あえて市街化調整区域を専門に取り扱う不動産会社もあります。依頼しようとしている不動産会社が、市街化調整区域の取り扱いが得意な会社かそうでないか、しっかり見極めることが肝心です。

たとえ新築や建て替えが許可されにくい、売却が困難な土地や家だとしても、経験豊富な不動産会社であれば何とかしてくれる場合があります。経験豊富な不動産会社であれば過去の経験をもとに、専門知識や交渉力を駆使して有効な手段を提案してくれる可能性があるからです。市街化調整区域の不動産売買においては、そんな信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。

記事監修 花井 政樹

株式会社ハナイアーバンプランニング 代表取締役、株式会社花井建設工業 代表取締役
生まれ育った鳩ケ谷で地域のお役に立ちたい思いで平成14年にハナイアーバンプランニングを創業以来、埼玉県鳩ケ谷エリアを中心に埼玉県川口市、さいたま市、越谷市、草加市、戸田市、蕨市、東京都足立区、北区、板橋区のを中心に不動産売却・販売・賃貸管理のお手伝いから建設業、そして任意売却や市街化調整区域・区画整理地に関わるご相談など、解決が難しいご相談にもおこたえし、ご縁の一つひとつを大切にしながら日々奮闘しています。


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