不動産コラム/ COLUUMS
“値引き交渉”を封じる──事前に行う3つの極意で早めの売却へ
公開日: 2026年2月24日 更新日: 2026年2月24日
目次

写真提供:ABC / PIXTA(ピクスタ)
住まいの売却を考えたとき。最も重視したいのは、希望価格で売れることではないでしょうか。売り出し価格で売却できればいいのですが、ときには買主側から条件をつけられ、値引き交渉をされることがあります。納得がいかなければ話し合いに時間がかかり、最終的には提示金額を受け入れざるを得ないことも。こうなると、住み替え計画にも影響が及びます。今回は、売り出し価格で取引を早期に成立させるために、売主側で事前に行っておきたいことをご紹介します。
買う側の立場に立ったら—「安心できる住宅」を

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あなたが、中古住宅を購入しようとするとき、建物で気になるのはどんなことでしょうか。
「住んだあとに問題が見つからないか」「雨漏りなど見えない部分で何か起きていないだろうか」。こういった点を意識するのではないでしょうか。あなたの住まいを購入しようとしている人も同じです。
売却する側は「雨漏りは起きていないし、丁寧に使っているから大丈夫」と思うかもしれません。けれども、買う側は不安なものです。できれば心配のタネは取り除いておきたいものでしょう。
このとき、「この家はこれだけ万全ですよ」と提示できれば、買主も安心して購入の決断ができるはず。早く決断してもらえれば、こちらの住み替え計画もスムーズに進みますし、何よりも価格交渉の余地がかなり減るでしょう。希望価格で購入してもらえれば資金計画も練り直さなくて済みます。
そのために売却前にやっておきたい3つのことがあります。
建物に関しては
1) 建物調査を行って、問題がないことを公に示す
2) 建物調査に加えて修理費などに対応できる「既存住宅売買瑕疵(かし)保険」加入の住宅であることを明示する
の2つの方法があります。
また、土地に対しては
3)境界線の確定
です。
順番にみていきましょう。
極意その1 「既存住宅状況調査」で60項目以上を点検

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1) 建物調査を行って、問題がないことを公に示す
最初に挙げたいのは、今の住まいがどのような状態かを知るための「建物調査」です。建物に調査を実施して、現況を把握し「問題がない」ことを公にすれば、売却活動は有利に進められそうです。
最近では、買主が購入希望の物件に対して建物調査を依頼することが増えています。この場合、費用は買主側の負担にはなりますが、もし、何か不具合が見つかれば、売主が修理をして引き渡すか、値引き交渉されるか、あるいは、購入を取りやめることが一般的でしょう。そうなると、売る側の住み替え計画や資金計画に影響を及ぼしてしまいます。
ここで事前に売り主側から「建物調査」を行って、「この住まいには問題がありませんよ」と宣伝しておけば、売却計画に影響が及ぶことは少ないのではないでしょうか。
そこで、大きな選択肢に上がるのが、「既存住宅状況調査」(ホームインスペクション)という制度です。これは、国が定めた制度で、既存住宅状況調査方法基準(2017年、国土交通省告示82号)に基づき、「構造耐力上主要な部分」(梁や柱など)、「雨水の浸入を防止する部分」(屋根など)の劣化や、「シロアリの害、給排水管・排水桝の故障」とその原因について、調べるものです。
調査をするのは、既存住宅状況調査技術者という国の定めた講習を終えた1級建築士、2級建築士、木造建築士(既存住宅状況調査技術者)。結果は、報告書としてまとめられます。
具体的には、同技術者が、建物を見ながら、構造上、主要な部分について現状を調査します。基礎や外壁にひび割れがないか、雨漏りはないか、などを専門家の目でチェックします。建物に穴を開けるなどの破壊行為は行いませんが、機器を使って見えづらい部分を把握します。検査項目は約60項目以上。料金は5万円~15万円程度が目安です。オプションなどもあり、事前にどの範囲まで調査を行うのかを考えておきましょう。
●調査対象箇所
この調査により、不具合がないと判断された住宅は、買主からみると、調査をしていない住宅よりも安心といえるでしょう。「もし、調査をして不具合が見つかったら」と思うかもしれませんが、修理すれば売却できますし、あるいはその状況を明らかにして価格を見直すことで買主はリフォーム費用の目安が立てられます。
調査がされた住宅は、そうではない住宅と比べると、各段に住宅と売主への信用度を高めます。国の制度に基づいて、認定資格を持った技術者が住宅を調査するのですから。買主が、建物に不安を覚えることはありません。
2018年4月以降、中古住宅の売買の際に行われる重要事項説明において、この「既存住宅状況調査」を実施している場合には、その結果を説明することが義務づけられるようになりました。売却開始時に「調査済」の住宅であることをPRできれば、大きな強みになるでしょう。
この建物調査を行う建築士は、先にお伝えしたように一定の講習を受け、「既存住宅状況調査技術者」資格者のみに限られています。他の資格では行えません。調査員を探すには、当社にお尋ねください。以下のサイトでも検索できます。
●一般社団法人 日本建築士事務所協会連合会
https://kyj.jp/inspection/search
調査員を探すには、近いエリアであることや、実績に加え、わかりやすい報告書を出してもらえるかもポイントになります。過去の報告書を見せてもらえれば、どのようなものかもわかります。これらを尋ねて、依頼者を決めましょう。
極意その2 「既存住宅売買瑕疵(かし)保険」でさらに安心!

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2) 建物調査に加えて修理費などに対応できる「既存住宅売買瑕疵(かし)保険」加入の住宅であることを明示する
二つめに挙げたいのは、「建物調査」を行ったあとの住宅に、修理費用を賄える「保険」をつけた「既存住宅売買瑕疵(かし)保険」への加入です。瑕疵とはキズを意味します。
つまり、「検査」+「保証」がセットになったものです。同制度は、保険加入を前提とした制度のため、先の「既存住宅状況調査」と比べて調査項目は若干、異なります。既存住宅状況調査とは別の制度です。
建物の調査後、第三者の保険法人が提供するものに加入します。保険を引き受けるのは、住宅専門の保険会社(住宅瑕疵担保責任保険法人)です。保険に加入できるのは、建物調査を実施して「問題がない」とされた住宅だけです。
保険で保証されるのは、構造耐力上主要な部分(柱や梁、土台など)、雨水の浸入を防止する部分(屋根など)などで、保険期間は5年間または、1年間です。「期限が短い」と思われるかもしれませんが、この期間は実質、住宅に対して保証がついているのと同じ意味合いになります。買主にとっては、購入への背中を押す材料になるのではないでしょうか。
では、「既存住宅状況調査」とはどのような点で異なるのでしょうか。既存住宅状況調査は、建物を調査して、「現状、このような状態ですよ」ということがわかるだけです。
「既存住宅売買瑕疵保険」は、調査後に問題がない住宅しか利用できません。調査後に問題が見つかったなら、そこを修理しない限り、保険には加入できません。わたしたちが健康診断を受けて健康と判断されれば、好条件の生命保険に加入できるのと同じでしょう。
保険に加入している住宅であれば、万一、修理が必要になった場合でも、売り主側が修理費用を負担することはありません。「保険加入した住宅」は、売却時の大きな強みとなるでしょう。
ところで、費用の目安はどれくらいでしょうか。調査と保険がセットになった建物調査なので、「既存住宅状況調査」と比べるとやや高くなります。建物の大きさや調査の依頼先にもよりますが、一戸建てであれば、調査費用は20万円前後と考えておきましょう。料金は依頼する調査会社によって異なるので、複数に尋ねておきましょう。

既存住宅売買瑕疵保険は、新耐震基準(1981年)以降に建てられた住宅であれば、加入できます。
築30年超のような住宅では、調査と保険がセットになった「既存住宅売買瑕疵保険」を利用して、売却を有利に進めたいものです。
この保険の利用に際して、売主が登録検査事業者に検査と保証を依頼します。調査を終えてから保険を申し込むわけではありません。「既存住宅状況調査」のように、調査だけで終わらないので、先にどちらを利用するかを考えておきましょう。
依頼する調査会社や調査項目も「既存住宅状況調査」とは一部異なります。保険の対象となるような雨漏りの可能性がある屋根や窓周り、シロアリの可能性がある床下などを重点的にチェックします。調査時間は最大で半日程度です。
既存住宅売買瑕疵保険を利用する場合、以下のサイトで対応する事業者を検索できます。当社でもご相談を受けたまわっています。
出典:https://kashihoken.or.jp/individuals/kizon/search.php
上記のサイトを利用する場合、「保険商品の種類」は、「既存住宅売買かし保険(個人間売買)」を選びます。都道府県は「埼玉県」を選びます。「市町村」は住宅の住所地や近隣を選びましょう。上記のサイトは以下のように表示されます。

極意その3 境界は確定されている?

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住まいの売買では、住宅の状況ばかりに目が行ってしまいますが、土地の状況にも意識を向けましょう。隣地との境界が明確でないと、その後にトラブルが発生してしまう可能性があるからです。
隣地との境目について、「ブロック塀があるからここが境界」「樹木が境界」と思い込んでいませんか。けれども、それは正式な境界ではありません。ここで、売主が土地の境界を理解して、「境界がはっきりした住宅です」ということをアピールできれば、早期の売却が期待できます。
不動産の売買契約書には、通常、不動産の境界明示が義務付けられています。境界明示とは、「売る土地はここからここまでです」ということをはっきりと示すこと。隣の土地の所有者から将来にわたって、異議申し立てのない完全な所有権の範囲を買主に示すものです。が、なかには、隣地との境界がはっきりしていないまま、土地を売買してしまうことがあります。
境界は、隣地の持ち主と、こちらの土地の持ち主であるあなたが、国家資格者である土地家屋調査士に立ち会ってもらい、承認して初めて決まります。隣地との間には、お互いが納得した境目であることを示す「境界標」が設置されます。
家の周囲を見てみましょう。もし、境界標がなければ、境界が確定していない可能性があります。もちろん、以前は境界標があったものの、道路工事などでなくなってしまったということもあります。こうなると、再設定の必要があります。
もし、隣地所有者との間で立ち会って測量した境界標がなければ、買主が土地の購入後、境界をめぐって隣地の持ち主とトラブルになる可能性が出てきます。こうなると、その不動産は敬遠されるかもしれません。
ここで、境界が明示できない場合、売主が買主に測量図を渡して代替する場合もあります。ただし、測量図があっても必ずしも売買の際の正式な書類として利用できないことがあります。これはどういうことでしょうか。
測量図には、
・現況測量図
・確定測量図
・地積測量図
の3つがあります。
順番に見ていきましょう。
●現況測量図
土地の形状を測量して、土地面積を求めるものです。測量士が土地を測量して、現状を正確に図面に落としたものになります。ただし、隣の人が境界に合意をしたわけではないため、境界が未確定な点が、後述する確定測量図とは異なります。
●確定測量図
「確定測量図」は、土地が接する隣地の人がすべて立ち会って境界に合意して作成されたものです。土地家屋調査士という国家資格者とともに境界を確認し、その土地面積が正確に図面に示されます。戸建や土地を不動産会社から購入された方であれば、購入時に図面を渡されているはず。図面のなかに「確定」という文字があることがポイントなので、一度、探してみましょう。家の周囲にも「境界標」があるはずなので、チェックしてみましょう。
もし、道路工事などで境界標がなくなっていたとしても、「確定測量図」があれば再度、座標情報を元にして、それほど時間をかけずに土地の範囲を示せます。
一方で、親から受け継いだ土地などでは、確定測量図がつくられた時期が随分前ということがあります。今では、当時の隣地所有者が別の所有者に変わっているなどで、境界標を復元するのに、時間がかかることがあります。こうなると、さらに売却に時間がかかります。売却活動を始める前に、測量図や境界標について、確認をしておきたいものです。ただし、買い主が確定測量図のないことを合意している場合は、現況測量図で代替して売買できるケースもあります。
●地積測量図
地積測量図とは、確定測量図と同様に、隣地の人が立ち会って境界を確定し、土地面積を正確に定義したものです。土地登記簿に登録されており、法務局に備え付けられている公的な図面です。2005年3月7日以降に作成された地積測量図は、ほぼ確定測量図と同等の効力を持つと判断されるので、これを用いてもよさそうです。しかし、古いもののなかでは、必ずしも精度が高くないものもあります。特に1977年9月3日以前の地積測量図は精度の低いものが多くあるとされています。
買い主も情報に敏感な時代、スムーズな取引を
このようにみてくると、図面があるからと言って必ずしも正確ではないことがわかります。
まずは、図面や境界標があるかを確かめてみましょう。そして、土地の境界が不明瞭な場合は、土地家屋調査士に依頼して、境界を確定させる作業の必要性が出てくるかもしれません。測量には隣地の所有者に立ち会ってもらう必要があります。
境界について、ご不明な場合は、一度、当社にご相談ください。図面など、わかりにくいことは丁寧にご説明いたします。境界を明確にしておくことで、売却の際、有利に働きます。
最近、建物調査や保険、測量は、買主の方が多くの情報を得て、意識されることが増えています。ですから、売主側でこういった予測可能な問題点をカバーしておけば、買主からの安心感は高まるのではないでしょうか。
いかがでしたか。当社では、建物調査や測量などの一連の流れについて、一括してご相談を受けております。古い住宅のある土地や境界の不明瞭な土地に対しても、数多く手がけた実績があります。中古住宅の売却について、ぜひ一度、お問合せください。
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