不動産コラム/ COLUUMS
水害・地震に強い家の選び方 見落としやすい3つの条件はこれだ!
公開日: 2025年10月21日 更新日: 2025年10月21日
目次

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集中豪雨に台風、近いうちに起きると想定されている大地震。自然災害は予測できないものの、「来るもの」と思って備えておくのは言うまでもありません。それは住まいの購入に際しても上位にランク付けしたい条件です。住まいに災害が起きると修繕費用がかかりますし、それ以前に住み続けられずに引っ越すという最悪の事態も考えられます。今回は、住まい選びの際に、ぜひとも取り入れたい災害への視点と、被害を最小限に抑えるための実践的な対策についてご紹介します。
災害リスクにも目を向けた住まい選びを

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住まい選びの際には、「どんな間取りがよいか」「価格は適切か」「駅から何分くらいかかるか」ということを条件に挙げる人がほとんどでしょう。しかし、同じ場所に長く住んでいくのですから、これだけでは不十分です。
残念ながら、日本は災害大国。地震はあちこちで頻発し、「明日、国内のどこで起きても不思議ではない」と言われています。首都直下型地震は、2022年以降、30年以内に70%の確率で発生するといわれています。
また、今後、30年以内に南海トラフ地震(静岡県から宮崎県の一部では震度7の想定)の発生確率が2025年1月、「60~90%程度以上」に変更されました。これは、江戸時代の古文書に明記されている地震の間隔や地盤の隆起量を基にして、政府の地震調査委員会が算出し直したものです。これまでは、「80%程度」と公表されていました。
地震の発生確率を正確に算出するのは非常に難しく、今回の予測では、より幅を持たせたものになりました。ただし、最大値は「90%程度以上」なので、確率としてはアップしています。また、実際の被害はこれまでと変化がないことが強調されています。
南海トラフ地震の範囲に首都圏は入っていませんが、それでもエリア的には非常に近く、大きな揺れと被害が起きることは十分、予想されます。
加えて近年は、温暖化により集中豪雨の発生や、強大な台風の発生確率も高まっています。これまでも、雷が鳴ったとたん、一瞬にして住宅や街が浸水してしまった地域もあります。また、川口市は埼玉県内のなかでも「土砂災害警戒区域」に指定されている箇所が多くなっています。多方面の災害発生のリスクを意識したいものです。
では、これらを避けるには、どのような視点で住まい探しをすればいいのでしょうか。
洪水・地震・土砂災害の3つを調べよう!

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住みたいエリア、あるいは気に入った住宅が決まったら、まずはその土地に潜む災害リスクをチェックしましょう。
これには、「ハザードマップ」が役立ちます。ハザードマップとは、国土交通省が公表しているもので、身の回りでどのような災害が起き、どのような被害を受ける可能性があるのかを示した地図です。浸水や土砂災害などが発生する地域に加え、地震被害の程度、避難場所などわかるものです。
まず、以下のマップをみてみましょう。
●国土交通省 ハザードマップ
https://disaportal.gsi.go.jp/
●川口市 ハザードマップ(防災本もダウンロード可)
https://www.city.kawaguchi.lg.jp/soshiki/01040/010/7/1/15293.html
荒川が近い川口市では洪水のリスクに気を配りたいものです。
たとえば、先の川口市のハザードマップで、洪水マップをみてみましょう(川口市南部)。
https://www.city.kawaguchi.lg.jp/material/files/group/14/017-018.pdf
荒川が氾濫する想定では、川口市の南部の一部が、最大3から5m未満の浸水の可能性がある地域に入っています(以下)。3mは2階の床下なので、1階部分は水に浸かる可能性がある、ということを頭に入れておきましょう。

地震の揺れの想定についてもみてみましょう。
これは、各市町村の地盤の状態から、地震が起きたときの揺れの想定や被害状況が示されたものです。
●地震ハザードマップ(川口市南部)
https://www.city.kawaguchi.lg.jp/material/files/group/14/033-034.pdf

川口市では、南西部エリアで大きな揺れが想定されています。しっかり対策を行っておきたいものです。
また、埼玉県では土砂災害の可能性があるエリアを住所の一覧やPDFで公開しています。こちらも目を通しておきましょう。
●土砂災害エリア(川口市)
https://www.pref.saitama.lg.jp/b1001/kasen/dosya.html#dosya
土砂災害のリスクがあるエリアのなかでも、とくに土砂災害警戒区域という地域があります。これは、土砂災害防止法に基づいて、「土砂災害の際に住民の生命または身体に危害が生ずるおそれがある」と指定された区域のこと。より危険度の高いエリアは、「土砂災害特別警戒区域」に指定されています。
川口市のエリアは以下です。
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/41781/higashikawaguchi_n-2.pdf
土地条件図でも地盤をみてみよう
洪水や地震、土砂災害のリスクを知るためにも、もともとの地形の状態を調べておくのも重要です。これは土地条件図でわかります。
土地条件図とは、台地や平野がいつごろ、どのように形成されたのか、海面から何メートルの土地なのか、といった土地ができた経緯がわかるものです。能登の地震では能登半島や石川県内だけでなく、周辺の富山県や新潟県にも液状化被害が起きましたが、被害が起きた土地をみてみると、江戸時代に埋め立てられた場所もありました。
川口駅を中心とした土地条件図は、以下で閲覧できます。
https://maps.gsi.go.jp/#14/35.815338/139.717291/&base=std&ls=std%7Clcm25k_2012&blend=0&disp=11&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1
凡例:https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/lc_cd25000.htm
川口市は、「低地の微高地」であり、「現在及び過去の河川沿いにあって、河川の洪水によって形成された微高地」、あるいは、「人工地形」であり、「山地、台地、低地及び水部に土を盛って造成された平坦地または傾斜地」が多いことがわかります。
災害に備えよう

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このようにみてくると、川口市は災害が多いなあ、と思われたかもしれません。しかし、少し待ってください。他のエリアもご覧になられましたか。災害が多いのは川口市に限りません。日本国内では全く想定されていなかったエリアをはじめ、あちこちで地震が起きています。
ですから、どの場所を選んでも、災害のリスクはゼロにはなりません。そこで大切なのが、対策です。これにより受ける被害を最小限にすることが可能です。自分の行動次第でいざというときにも、不安が少ない暮らしを維持できるでしょう。
順番にみていきましょう。
●土地を確認
すでに述べましたが、上記のハザードマップなどで自分が住みたいエリアにどのようなリスクがあるのかを知っておきます。
そして、たとえば、洪水リスクがあるのであれば、最大どの程度の高さまで浸水するリスクがあるのか、を認識しておきます。
●盛土か、切土か、擁壁に問題はないか
土地の全般的な成り立ちを知ったうえで、宅地造成についても知っておきましょう。
住まいが建つ土地が谷筋やがけ地の場合、土が盛られたり(盛土)、切り取られたり(切土)して平面にして住宅が建てられていることがあります。土を新たに入れて固める盛土は、土地が固まるまで時間を要するため、そうではない土地に比べて地震への強さが同レベルとはいいがたいものです。盛土をした土地は周囲をコンクリートやブロックなどの擁壁で固めることが一般的です。切土は、崖などを崩し、その周辺をのり面として固めます。
ここで注意したいのは、これら盛土、切土、擁壁の状態です。
もちろん、崩れないように適切な工法でつくられたものが大部分ですが、昔の工法で作られたまま、現在もそのままの擁壁が用いられている場合があります。こうなると地震などで擁壁が崩れるリスクがゼロではありません。
新築住宅をこれから建てるという場合は、宅地造成された土地を購入することになります。そうなると、切土や盛土がどのような工事でなされているかが、気になるでしょう。
川口市では、2025年5月26日に「宅地造成及び特定盛土等規制法(通称:盛土規制法)」が施行され、市内全域が「宅地造成等工事規制区域」に指定されました。きっかけとなったのは2021年に、静岡県熱海市で大規模な盛土崩落が発生したことによります。
盛土規制法には、以下の内容が盛り込まれています。
・宅地造成工事規制区域の拡大
・安全確保のための基準設定
・土地所有者等の責任の所在の明確化
・厳格な罰則
盛土か切土か、といったことは先のハザードマップでも知ることができますが、自治体の窓口や、地元に長い間、根を張って営業を続けている不動産会社でも詳しく教えてもらえます。当社でも、お客様の知りたい情報をご提供いたします。宅地造成等工事規制区域の土地や住宅の購入を検討する際には、検査済証の確認などが必要となるので、ぜひ当社にお問い合わせください。
また、中古住宅を購入する際には、現地で確認しましょう。建物が擁壁の上に立っていたり、周囲に擁壁があったりする場合は、擁壁をチェック。ひび割れはないか、沈んだ箇所はないか、浮いているような場所はないかを住宅だけでなく、建物の周辺を含めてみておきましょう。
建物調査を利用してみよう

写真:makaron* / PIXTA(ピクスタ)
たとえば、中古住宅を見てみると、擁壁にやや難があるのではないか、という可能性が出てくるとします。詳しいことは調査をしなければわかりませんが、まず不動産会社に相談しましょう。親身になって相談にのってくれる不動産会社であれば、「売る」だけに特化せず、買う側の気持ちを理解して、さまざまな提案をしてくれるはずです。
さらに、建物の現状を知るには、調査会社に依頼する方法があります。これは、建築士が建物や周囲の状態をチェックするというもので、調査項目は会社によって異なるものの、50~100項目程度が多くなっています。建物だけでなく地盤や周囲をわかる範囲で調査し、現状を教えてもらえます。擁壁の状態なども専門家のアドバイスをもらえます。
また、建物周囲は調査の対象外になるものの、建物を調査する「既存住宅売買瑕疵保険」の利用も頭に入れておきたいものです。
これは、宅地建物取引業法に基づいて、既存住宅状況調査技術者という資格を持つ建築士などの専門家が、既存住宅状況調査方法の基準に基づいて建物の現状を調査し、検査の結果と保証を合わせて保険としたものです。周辺の土地などの災害リスクについて調べるものではないのですが、建物の現状を知っておくのは大切ではないでしょうか。
「既存住宅売買瑕疵保険」で検査するのは、柱や梁、基礎など、住宅の基本構造部分。先の調査会社に依頼する方法と比べると、調査項目は少ないことが多いのですが、検査後に「既存住宅売買瑕疵保険」に加入します。保証期間は1年または5年間(個人間売買の場合)です。もし保証期間中に瑕疵(キズ)が見つかると、保険金が下りるので、その費用で補修をするものです。修理のための仮住まいなどにも保険が支払われます。
調査会社に依頼する方法も、既存住宅売買瑕疵保険による建物調査も、かかる費用は調査内容や調査会社次第ですが、5万程度~15万円程度になるかと思われます。費用は、売主が負担する場合もありますし、買主が購入を前提に調査をするのであれば、価格から差し引いてもらうように交渉する方法もありでしょう。
どこに依頼したらよいかわからない、というときは、ぜひ一度、当社にお尋ねください。
リスクには保険で対応 水災や地震保険への加入を!

写真:ELUTAS / PIXTA(ピクスタ)
水災などへの対応について、頼りになるのが保険の存在です。
火災保険には、「水災」を補償するオプションがあります。保険会社によって、カバーされる内容が異なるので、各商品を見比べて加入を決めましょう。
水災では、一般的に以下のような被害が対象になります。水害が想定されるエリアであれば、ぜひ、加入をしたいものです。
・建物(家財)の保険価額に対して30%以上の損害とみなされたとき
・床上浸水または地盤面から45㎝を超える浸水による損害があったとき
注意したいのは、家財と建物の両方に保険をかける必要があることです。仮に家財に保険をかけていないと、浸水して電化製品が被害にあったとしても補償はされません。また、被害内容によっては対象外のことがあるので、どのような状況であれば補償が受けられるかを事前に理解しておきます。
さらに、検討したいのは地震保険です。地震に起因する津波や、噴火などにも対応しており、逆に地震保険に入っていない限り、地震による火災などは火災保険では補償されません。
地震保険は、火災保険に付帯する形でしか契約できず、単体では加入できません。保険金は火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内で決めます。ただし、建物は5000万円、家財は1000万円が限度です。支払い基準も全損、大半損、小半損、または一部損と判断されたときに支払われるものです。
地震保険は、毎月支払う保険金がやや高額で、補償も十分とはいえないのですが、いざというときには少しでも経済的に頼れるものがあるのは、ありがたいのではないでしょうか。
災害エリアの融資はどうなる?

写真:藤井僚 / PIXTA(ピクスタ)
ところで、何らかの災害が起きうる土地を購入しようとする場合、金融機関の融資は受けられるのでしょうか。
一つの例として、土砂災害特別警戒区域内などで住宅を購入しようとする場合、住宅ローンが利用できないことがあります。たとえば、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して行っている【フラット35】ですが、こちらは、新築住宅を建設または購入する場合、【フラット35】子育てプラス、【フラット35】Sおよび【フラット35】維持保全型という種類において、金利が引下げられるメニューは利用できません。融資の面で、不利になる場合があることを頭に入れておきましょう。
https://www.flat35.com/loan/lineup/flat35s/ricchi_youken.html
住んだあとは自ら備えを、避難場所もチェック

写真:shironagasukujira / PIXTA(ピクスタ)
そして、最も大切なのが、日頃の備えです。食料の保管やポータブル電源の準備といった地震への備えはもちろん、エリアによっては水災などの災害も想定しておきたいものです。水災には、水の浸入を防ぐ「水のう」の準備、強風に備えた窓ガラスへの飛散防止対策、貴重品の保管場所(2階へ)などの対応が必要です。
川口市内の避難場所は以下で知ることができます。事前に場所を把握しておき、いざというときに困らないようにしたいものです。
https://www.city.kawaguchi.lg.jp/material/files/group/14/039-040ver2.pdf
https://www.city.kawaguchi.lg.jp/material/files/group/14/041-042ver2.pdf
当社は、川口市内で20年以上、多くの方に住まいをご提供してまいりました。長年、地元で営業を続けているため、その土地の歴史や成り立ちもご紹介できます。地元の状況を理解した金融機関のご紹介も可能です。川口市内で住まいを探していらっしゃる皆様、ぜひ一度、当社にお問い合わせください。
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